異国の日常
□第1話
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私は『仕事』を終えて、民家の上で一休みをした。
「依頼完了っと」
最期の最期までうるさい奴だった。
あんなに生に固執するやつ今時この場所で珍しいんじゃなかろうか?
金持ちの考えはわかるものでもないか。
さて帰りますかね。
その時一際強い風か吹いた。
「__っ」
目を開けるとそこには真っ黒な燕尾服を着た背の高い男と、齢10ぐらいの子供がいた。
私は慌てて刀を抜く。
見なりから貴族階級の主従関係なのだろう。
「随分と派手にやったものですね。誰からの依頼だったんですか?」
男の方が口を開いた。
「……」
私は黙ったまま二人を睨みつけた
「なるほど、言うわけはありませんね。」
「無駄口を叩くな。僕は早く帰りたい。」
「申し訳ありません坊ちゃん。」
なんなんだこいつらは。仮にも殺し屋と鉢合わせしているんだぞ。
どうしてこんなに危機感がないんだ?
「申し遅れました。こちらはファントムハイヴ家当主シエル•ファントムハイヴ伯爵。わたくしは執事のセバスチャン•ミカエリスと申します」
ファントムハイヴ!?
聞いたことがある。
代々、イギリスに違法の麻薬を持ち込むマフィアの始末など、女王のためにイギリスの裏社会の管理や汚れ仕事を請け負っている一族。
『悪の貴族』
『女王の番犬』
「……伯爵様がこんなところで、一介の殺し屋に何のようだ?」
目をつけられたのか。
これは逃げた方が良さそうだな。
「ある噂で聞いた。イーストエンドには凄腕の殺し屋がいると。一度あって見たいと思ってな」
「人違いだ」
「あぁ……。勘違いなさらないでください。別に我々はあなたを消しに来たわけではありません。」
「お前に僕の使用人(コマ)として働いてもらいたくてな。」
「……は?」
……つまり
「依頼。いうことか。いいのか?番犬が殺し屋なんぞ雇って。」
「構わん。使えるものは使う。それだけだ」
「ふっ……面白い。期限は?」
「お前が命を落とすまでずっとだが?」
一生ですか!?
まぁ誰かのためにこの刀を振るうというのも悪くはないかもね
「OK。その依頼受けよう。」
「よし。お前には表では執事補佐として働いてもらう。仕事はセバスチャンにでも教えてもらえ。」
「そう言えば、まだ名前を聞いていませんでしたね。」
言っていなかったっけ?
「九重棗と申します。この身を削りお守りいたしましょうご主人様(マイロード)。」
全ての始まり