異国の日常

□第17話
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劉の窟に帰ってお茶にしようかとしていたら
「急な仕事が出来たので」
と劉が滄波くんに連れて行かれた。
劉はかなり不満そうにしていたが私は気にしない。
仕事しろ支店長

用意したお茶は勿体無いので藍猫を呼んで雑談しながら飲んだ。




「藍猫はあれの妹にしては似てないよね」
藍猫はこくりと頷いた。
「私と義兄さんの血は繋がっていないから」
「あ…妹って義理のか」
「そう」
「でも羨ましいな。私に兄弟姉妹はいなかったから…藍猫みたいな妹が欲しかった」

何度か母さんに頼んだことはあった。妹か弟が欲しいって。
今思うとかなり恥ずかしい思い出なのだけどね。

少し物思いにふけっていると藍猫が膝の上に座ってきた。

「どうしたの藍猫」
驚いたけど仕草が可愛くて私は頭を撫でる
でも藍猫は拗ねた顔をしていた
「藍猫?」
「……た」
「?」
「義姉さん(ねえさん)て呼んでいいって言った」

私は藍猫の言わんとしている意味を掴んで思わず抱きしめた。

「そうだったね、藍猫。藍猫は私の妹だ」

藍猫の嬉しそうな顔に自然と笑顔になる。

あんなのの妹なんてもったいない。
持って帰りたい。



「おやおや、随分仲良くなれたみたいだね。」
「義兄さん……」
「昨日から話してはいただろう」
「それでも、藍猫は人見知りだからね」

心配していた。

そんな副音声が聞こえた。

劉にとっても藍猫は血が繋がらなくとも大切な妹なんだとわかる。


「さて、仕事も終わったし、夕食にしよう。藍猫、お茶を新しく持ってきてくれるかい?」

藍猫は頷くと部屋を出ていった。


「何を話していたんだい?」
「妹が欲しかったと言ったら私は妹ではないのかと言われたよ」

口では言われてないけど。
「そうかい。久しぶりにあんなに楽しそうな藍猫を見たよ」
「藍猫が嬉しそうだと私も嬉しいよ……ねぇ、劉。「ダメだよ」まだ何も言ってない」


劉は笑い半分呆れ半分といった顔をした。

「大方藍猫を頂戴と言うんだろ?ダメだよ。藍猫も青幇の一員なんだからね」
「そっか。残念」
「その代わり、いつでも遊びに来るといい。喜ぶよ」
「そうする」


「………」

「劉?」




「……藍猫だけじゃなくて我にも会いに来て欲しいんだけどなぁ」

劉は甘えたような、寂しいそうな声を出す。

「っ……それは!……ここに来れば自然に会うでしょ?」



「……そうだけどね。……そうじゃないんだよ」



会話がおかしな方に向かっていると気づいた私は逃げようとした。



でも、遅かった。
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