異国の日常

□第9話
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「お、おやめください!」

すぐに彼の手の中から抜け出そうとする。
が、抜け出せない。

この人…力があり得ないぐらい強い。
私だってそこまで力は弱くはないはずだ。


なのに!!

「おやおや。さっきまでタメ口だったのに突然どうしたんだい」

「いえ……お客様ですので」
我慢だ…。

これが終わったら甘いものをセバスに作らせよう。
そう我慢…。

「まぁいいや。従順なのも悪くないしね」


……
………プチッ

頭の中で何かが切れた音がした。

「じ…と……だ」

「!?棗落ち着きなさい!!」
いち早く私の変化に気づいたセバスが止めに来るけどもう我慢の限界だ。

一昨日の夜の分まで溜まっていたものが爆発したのがわかった。

「上等だ!!そんなに言うのならてめぇだけにはタメ口でいってやるよ!!」

そこまで言って私は坊ちゃんの方を見る
「坊ちゃん!」

「な、なんだ!?」
「こいつに敬語を使わなくてもいいという許可をください!」

「……良いんじゃないのか?」
坊ちゃんは面倒臭そうに答えた。
それでも許可は得た。


「ねぇ、あの子冷静なの?それとも興奮状態なの?」

「さあ?主の許可を求めるあたりは冷静なのではないでしょうか」

「いいねぇー我だけ特別扱いかい。
これからよろしくね棗。」

「”離れろぉぉぉぉ!!”」
思わず日本語になってしまった。
でも気にしている暇はない
「”触るな!私に触るな!!”」

「あれは日本語か?」
「えぇ恐らく」


「んー少々嫌われてしまったかな?」
「少々じゃない!大っ嫌いだ!!」

うー…最悪。
なんでこんな目に…

「そうだ伯爵。ちょっと仕事の話があるんだかけれど今いいかい?」
「構わん。行くぞセバスチャン」

「御意。」
え、私は!?
「セ、セバス!」

「棗はマダムをお願いします。お客様のお相手も執事の仕事ですよ」

後ろを見るとマダムが満面の笑みで手招きしている。
若干悪寒がする。

「わかった。」

こうして執事と補佐は二手に別れた。
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