異国の日常
□第8話
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「今日はお2人のお客様がいらっしゃいます。
くれぐれもご迷惑の無いように」
「はい」
セバスが坊ちゃんの部屋に行ている間に私はお茶の準備をする。
「紅茶をいれる前に、まずポットとカップにお湯を注ぎ、全体を温めておく、っと。」
昨日セバスに言われた通りに紅茶を作る。
私がここに来てからの始めてのお客様…。
どんな方達なんだろう。
ちょっと楽しみだ。
あ、でも変なことをしたら坊ちゃんの株を下げることになるのか。
気をつけないと。
ガラガラと遠くから馬車の音が聞こえてきた。
「あと数分でお着きになるかもね。そうだお茶菓子のケーキも出しておこう。セバスが用意していたはずだったし」
ケーキの入っている扉を開けた時厨房にセバスが入ってきた。
「棗。お客様がお着きになりました。応接室に持って行きますよ。」
「あ、ちょっと待ってお茶菓子とってから行く」
そう言うとセバスはわかりましたと言って先に行った。
急がないといけないな。
ケーキと紅茶を台に乗せて、応接室に向かった。
もう少しで着くという時正面に人影が見えた。
誰だろう。
お客様だろうか?
影の人物が口を開いた。
「おやおや、誰かと思えば一昨日の黒猫じゃないかい。」
「っ!!」
それは二度と会いたくないと思っていた、あの男だった。
私は腰の刀を抜いて男にむける。
その拍子に台に乗せていたものが落ちる。
でもそんなの気にしてはおけない。
今は私の『仕事』を全うすることに全力を注ぐ。
「どうしてこんなところにいる!?」
この家を、
ファントムハイヴ邸を外敵から守るのは私の仕事だ。