異国の日常
□第5話
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私は1度かつての家に向かった。
本当なら売っても良かったんだけど、ここで仕事が有る時に便利だからとセバスに言われそのままにしておいた。
私はイギリスで目立たないような洋服が入れてあるタンスを開けた。
市街地に出るには質素だけどイーストエンドなら問題ないレベルの服たち。
浴衣に比べると全く目立たない。
数が少ないがお母さんが集めたものだ。
「これでいいか」
私はそのうちの一つを引っ張り出して袖を通す。
鏡に映る自分に笑がこみ上げて来た。
「相変わらずの似合わなさだ。やっぱり和服の方がいいな。」
まぁ、今回は仕方ない。
脱いだ執事服はシワにならないようにハンガーにかけた。
「よし……行こう」
刀を見えないように隠し、私は家を後にした。