異国の日常

□第1話
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1885年某月某日

薄暗い東洋人街(イーストエンド)のさらに薄暗い路地裏。
二つの影が何かを言い争っている。
いや、大声を出しているのは片方だけ。
一目で私欲を肥やしているのだとわかる男だった。
地面に膝をつき何かを強く訴えている。


もう片方は、美しく長い髪を一つに束ね日本の浴衣を着流した女だった。

だがその手には刀が握られている。
その目は冷酷に男を見下ろした。


「”______。”」
女は少なくとも英語ではない国の言葉をつぶやいた。


そして、刀を振り上げ一気に振り下ろした。









突然訪れる静寂。









男はピクリとも動かない。
そこには真っ赤な池が出来上がった。








女の姿はもう何処にもない。
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