文学者達ノ恋模様

□死を夢む
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「ふ………ぅ…」
 体が、じんわりと暑いような気がする。気持ち良い。
 太宰治は、ふわふわした意識を覚醒させるため、体を起こそうとした。
 が、しかし
「……ッ?!!」
 動かない。
 はっとし、目を開ける。開けてすぐに、覚醒しない方が良かったと後悔した。
 拘束されている。
 両手は上でひとつにまとめられ、更にベッドの走らせてとめられていた。足は自由であったが、腰の辺りがチェーンのような物で留められている為、身動きが取れない。
 太宰は、意識を失う前の最後の記憶を探る。
 暫くして、彼の口から零れ落ちた名は。
「中、也……? 」
 まさか、まさか、否、でも、そんな馬鹿な。
 ぞくり。
 嫌な予感が太宰の第六感にひしめいた、その時。
「やっと起きたのかァ、太宰? 随時手前の朝は遅ェんだな」
 もう午前一時だぜ、と、太宰が一番今会いたくない人物、中也は言った。
「何するつもり? 君、こういうの向いてないと思うんだけど」
「こういうの、ねェ」
 中也は太宰を拘束しているベッドに、悪びれる様子もなく近づいた。
「手前が言ってンのは拷問の類いの事だろうが、今から俺がやるのは、そんなんじゃないぜ? 」
「へぇ、じゃあ、殺してくれるのかい? 」
「は、死ぬんだったら勝手に死んどけ、迷惑自殺名機」
「美人の女中さん紹介してくれたら良いよ」
「煩ェ」
 憎まれ口を叩くものの、太宰は内心、焦っていた。
 中也が何をしたいのかが分からない。分からないのでは、対処の使用がない。
「拷問は意に介さねぇ、殺しても喜ぶ、単に嫌がらせしても、海鼠みてェにかわしちまう」
「……」
「なら、何が一番意趣返しになるかって考えたときに……」
 ぎ、とベッドが軋む。
「これだったら、良いんじゃねェかってな」
「ッ……?!! 」
 シャツ越しに中也の指が這う。驚きのあまり、目を見開いて太宰は彼を見た。抵抗したくとも、ガシャガシャと鎖が揺れるだけで、逃げることが出来ない。
「ち……中也ッ……」
「さすがの最年少幹部様も、こっちの経験はねェか」
「つ、あってたまるか! 」
 ヤバいヤバい。
 危険信号がカチカチと点滅する。
 シャツの鈕を外される。外界の冷たい空気が、ヒヤリと体をなぞる。
「ひ、」
 指が体を這う。腰の辺りから唇を這わせ、ゆっくりと体を重ねた。体温と鼓動が伝わってくる。中也は、首筋を吸いながら、太宰の下部に、するりと指を伸ばした。
「ッッ! 」
「こんだけで勃ててンのかよ、淫乱な奴」
 からかうようにそう言うと、太宰は顔を真っ赤に染めた。
 ソレを手で弄びながら、中也は込み上げてくる笑いを噛み殺しす。
(そりゃ、薬盛ったからな。睡眠薬と……まあ、アレをな……)
 羞恥に身悶える太宰が面白いので、ネタばらしはしない。
「中也、も、やめ……」
「ああ? 此からだろ」
 と、ベッドの隣の小さなテーブルに置いてあった、小さな容器を取る。
「太宰サマは女性経験が大変豊富らしいので、こういう物も使った事が在るでしょうネ」
 蓋を開けて、太宰の体に中身を垂らす。透明な、粘着質の液体。
「つ、めたッ」
 つー、と満遍なく体に落とし、手で塗り込む。
 情事を意識した手の動きに、太宰の息が、微かに上がり始めていた。
 最後に中也が液体__俗に言うローションだが__を垂らしたのは、太宰の後輪だった。
「うっ?! え、ま、待って中也、そっちは……! 」
「あ?かまととぶるな」
 自らの人差し指もそれで濡らし、そのまま入り口にあてがった。
 太宰の体が強張る。
 そんなことは意に介さず、半ば無理矢理、抉じ開けた。
「う、あ、」
 陵辱的な行為に、ふるふると震える。
「き……気持ち悪い…」
「煩ェな。うーん、何かここら辺って聞いたンだが」
 ぶつぶつ呟きながらくにくにと人差し指を動かす。
 奇妙な異物感に眉をひそめていた太宰だったが。
「っんあ!!!」
 ガシャッ、と手錠が激しく突っ張る。
「お、これか? 」
「あ、あ、あ、待っ、む、無理ッ」
 ヤバい。なんだよ、この反応。
 前立腺を攻め立てていた中也は、自らのズボンのファスナーを下ろした。そして、指を抜き、代わりに中也自信のソレを押し付ける。
「い、ほんとに、待ってってば、中也、ね、お、おちついて、ね? 」
「据え膳喰わぬは何とかって言うだろ」
 ぐっと下半身に力を込め、閉ざされたソコにねじ込んでいく。
 感じたことのない圧迫感。
「は、きっつ……おい、力抜け」
「ん、んん……ッ」
「ちッ」
 舌打ちした中也、奪い取るように太宰にキスをした。
 舌を絡ませる。長い長い窒息しそうなそれ。
「んむ、ん、はぁッ」
「っ、ふー……これで全部、だ」
「は、あッちょ、動か、ない、で」
「じゃあ、抜くか?」
 腰を引くと、太宰のナカがびくびくと震えた。
「ひぁッ、ん、う、動くなッ」
「動かなかったらどっちも辛いだろ」
 ベッドの上で涙目に成りながら、太宰は中也を睨んだ。
 普段は絶対に見られないその姿に、中也の中で何かが外れる。
「ふぁ、あ、や、ちゅう、やぁッ」
 息をつく間も無く、太宰の最奥を突く。悦声の漏れる口を塞ぐと同時に、二人は白濁を吐き出した。
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