文学者達ノ恋模様

□パンドラと龍
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「じゃ、芥川君、服脱いで」
 誰もいない廃墟となった倉庫。その隅の、薄暗い場所で。芥川を座らせた太宰は、少しネクタイを緩めた。
「……?」
「あーもう、しょうがないなぁ」
 太宰はため息を付きながら、もたつく芥川の代わりに、服を脱がしてやる。現れたのは、病弱なせいなのか、白すぎる柔肌だった。
 さすがに恥ずかしいのか、芥川は縮こまって其れを隠した。
「ッ、じゃあ、次。自慰して」
「じ、ち?」
「まじか……」
 これは、思ったよりも手強いぞ。
「あーじゃあ、私がヤってあげるから、次からは自分でシテね」
「え、あ、だ、太宰さん?!」
「はいはい、騒がないよー」
 ちゅく、とまだ萎えているソレを握る太宰。最初は抵抗していた芥川だったが、次第に先の方が、濡れてきた。
「ふ……ぁッ」
「気持ち良くなってきたかい?」
「ふぁ、あ、だざ、い、さ……ッなんか、くる、あ、あッッ」
 白い喉がくっとひきつり、ひくひくと痙攣する。
 太宰の手に白濁が飛び散った。芥川はまだ荒い息を整えながら、ぼんやりとした上目使いで、彼を見上げた。
「これ、が、せいこー、ですか」
「ッッ、いや、これは、その、第一段階的なのでね……初歩だよ。そう、初歩!!いきなりは、出来ないんだ。だから、少しずつ、教えてあげるよ。だから、今日はね、此処までにしよっか」
 あれ。
 いや、あれ?さわりだけ教えるのでは、無かっただろうか。
 太宰は、頭のなかで起きているプチパニックを誤魔化すように一気に捲し立てると、芥川にさっさと服を着せた。
「また、一週間後のこの時間に、此処にくるんだよ。後、この事は、誰にも言ってはいけないからね」
 従順な犬は、自らパンドラの箱を開けたとも知らず、コクリと小さく頷いた。
「分かりました。太宰さん」
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