文学者達ノ恋模様

□罰げぇむ
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「それで?まんまとヤられたって訳?」

 ここは、敵の領地。
 踏み入れてはいけない、場所。大嫌いな大嫌いな、太宰治の家。
 「ここじゃなんだから」と、雨の中俺をつれ回し(人目のない所をわざわざ選んで)自分の家にあっさりと招き入れやがった。無防備すぎる。頭沸いてんのか、コイツ。
 俺は、都合の悪い部分は割愛し、大まかな経緯を太宰に話した。ずぶ濡れのままで。立ちっぱなしで。
 因みに玩具はうごうごしてる。どうでもいいが、きもー。

「手前、殺られたってなんだよ。生きてるだろうが」
「……君とはたまに壁を感じるよ」
「あぁ?壁?んなもんどこにあんだよ」
「…中也ってさ、もしかして天然なの?」
「はぁ?手前、人を天然記念物見たいに言うな」

 にしても、凄く寒ぃ。当たり前か、薄着だし。

「さみぃ……」

 思わず口にまで出てしまった。
 何の変鉄もない言葉だったのに、何故か太宰が反応して、こちらによってくる。

「んだよ」
「中也さぁ…本当馬鹿だよね。付いてきちゃうとか、馬鹿すぎて此方が辛い」
「……何だ?ここで俺と殺るのか?」
「あーもぅ、わざと?誘ってるようにしか聞こえないんだけど」
「は?」


……
………え?

「ん… 」

唇が。
俺の唇と、太宰の唇が、重なった。突然のことで、よろけると、後ろの壁に背中がついた。

「ふ…はぁ…太宰、手前、何を」
「ナニをする、って感じかな」
「はぁ?ふざけん…んん?!!」

 再び交わる唇。今度の口付けは、さっきよりも長い。
 
 え、俺…命よりも大事なものがなんか、危なくないか?
 
 抵抗するも、太宰は舌を俺の舌に絡めてくる。噛み千切ろうとしたら、両方の頬をグイッと押された。ピチャピチャと、なんとなく卑猥な音が部屋にこだまする。
 あまりに長く、痺れるほど上手い口付けに、俺はずるずると力が抜けていった。

「は…ふぁ……手前、本当に、止め」
「中也さぁ…雨の中透け透けのシャツ一枚で、その上泣いてなんかいたりしたら。欲情しちゃうの、解らない?」

 太宰が、俺の上にのしかかる。そして、俺の着ている薄いシャツの釦を、プチプチとはずしてきた。

「ッ……太宰!!手前、自分が何してんのか、分かってるか?!!」
「中也こそ、自分が何されるか、わかってるの?」
「っ、」

 太宰の舌が、胸の突起の近くを這う。思わず太宰を押し退けようとしたら、両手を右手で拘束された。

 え、待ってくれよ。
 なにしてんだよ、コイツ。

 困惑する俺を余所に、左手が体をまさぐり始める。

「や…太宰、止めろっ…んぅッ」
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