文学者達ノ恋模様

□PlEasE giVe Me lOve!
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「あ、ぁ、だざ、いさ、んッ」
社内に、敦の蕩けた声が響く。
太宰は、敦の細い腰をなぞりながら、耳元で囁いた。
「ココ、気持ちいいでしょう? 敦君」
こくこくと必死に頷く後輩に、太宰は満足げに微笑む。
そして……

「何を遣っているんだ貴様らは」
ぱこん、と軽快な音をたてて、太宰の頭が叩かれた。
「痛いなぁ、見て分からないの、国木田君」
「見たら分かるがお前らの会話がいたたまれん」
「国木田さん! 凄いんですよ! 太宰さん、有り得ないくらいマッサージが上手いんです!」
犬だったら尻尾をぶんぶん振っているであろう勢いで、敦が言う。
褒められた太宰は満更でも無さそうな顔をしている。
「分かった、分かった。だが他所でやれ。良いな?」
「もー、国木田君たらぁ、うぶなんだから」
「蚯蚓とゴキブリどっちが好みだ?」
「そんなこと言われたら、本当に他所でヤっちゃうよ?」
「……おい敦。こいつだけは、暫く、絶対に二人っきりになるなよ。……敦?」
 はた、と目をやると、何故か其処に敦の姿はない。
 太宰も、珍しいことに、驚いた顔をしている。
 何処へ行ったのかと辺りを見渡すと、さっきからずっと居た、なおみが、笑顔で告げる。
「殿方が争っている間に、乱歩さんが連れていかれましたよ?」
「「しまった!」」
二人の声が、これまた珍しく、綺麗に重なった。





「あの、乱歩さん? どうしたんです、急に」
「別に?」
どんどん人気が無くなってくる。
乱歩は暫く進むと、敦を路地裏に引っ張り混んだ。
「うわわッ、ちょ、乱歩さん?!」
「しー、声が大きいよ。まぁ、聞かせたいのなら僕は構わないけれど」
ぐ、と乱歩と敦の顔が近づく。
「き、聞かせるって、なに、を」
「喘ぎ声」
「あえっ……んッッ」
唇を奪われる。
急な出来事に抵抗しようとするも、何故か体が思うように動かない。
息をしようと口を開けると、待っていたと言わんばかりに、舌が入ってくる。裏筋をなぞられる度に、ゾクゾクとした感覚が駆け抜ける。
「んう、む、ぁ、はぁ……何、で…」
「何でって、君は阿呆か? ああ、阿呆だな。社内であんな声を聞かされたら、我慢できるものも我慢できない。ったく、太宰はわざとやっていたな……」
 そう呟くと、乱歩はつつ、と敦の胸板をなぞる。
「は、ぁッ」
「接吻されただけなのにね、敦」
「う、ご、ごめんなさ……ッッ??!」
 ズボン越しに、ソレを触られる。止める間も無く、ズボンの中に侵入してきた手は、既に熱い敦のソレへと指を這わせた。
「ひぁ、乱歩、さ、あッ」
手の動きはだんだん間隔を狭め、敦を追い詰める。
「や、だめ、も、いっ」
達すると同時に敦の腰が抜け、ズルズルと壁伝いに崩れ落ちた。
「はぁ、は……ぁ、なんで、こんな……」

「可愛いからかな」
「ふえ?」
乱歩の声ではない。
少し息を切らした、その人物は……否、人物たちは……
「え、あ、太宰さんっ、と、え、え、国木田さん……?!!」
 太宰は笑顔で応じ、国木田は気まずそうに顔をそらした。
「乱歩さん、抜け駆けは駄目だって言ったじゃないですか」
「うるさい太宰。お前らがちんたらしているのが悪い。それにお前らも見ていただろう」
見っ……?
と顔を青くする敦を尻目に、話はどんどん進んでいく。
「他の人たちにも声掛けないと、不平等じゃない?」
「お前は敦を殺すきか」
「じゃあ、初めは三人って言うことで、敦君宜しく」
 じり、と後退りたい敦。だが、あいにく後ろは壁。
 国木田に助けを求めようと視線を向けるが、口元が『諦めろ』と動いたのを見て、いよいよ逃げ場がなくなったのを悟る。
此処まできてごねていたら、逆に格好悪いと、謎の確信をもった敦は、腹をくくる。
そして、自分を見下ろす三人に、言った。


「あまり、酷く、しないでくださいよ?」
 

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