文学者達ノ恋模様

□テッセンの花束
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 幸せそうに眠る、その横顔を見つめる。
 愛惜しくて、目が離せない。
 それは、そう。
 まるでテッセンの花言葉のように。



「あ、お帰り」
 敦は、夜遅くに帰って来た芥川に、声をかけた。
 今日は何時もより大分時間が遅かった。どうやら、結構大変な仕事だったらしい。
「ご飯どうする? 僕はまだ食べてないんだけど……」
 待ってたんだけど……と言いかけて、恥ずかしかったので止める。
 何時までも返事が返ってこない為、不安になった敦は、ソファーの上で、首だけを動かして後ろを振り向く。
「芥川、どうし」
 噛みつくようにキスをされる。
 荒々しい、遠慮容赦ない、ソレ。
「ん、む、ふっ……あ」
ぐい、と押し退けようとするが、上手く力が入らない。
くらくらする。
窒息しそうだ。
「っ、っ、はぁっ、な、に」
敦の問いに答えることなく、芥川は彼の服を脱がしていく。
 色白で、ほんのりと暖かい肌に、手を這わせる。
「ちょ、え、まっ……ご飯! ご飯食べようよ! 一緒に! ね!?」
「黙れ」
「っ、」
 ピリついた威圧感に、押し黙る敦。
 その間にも、芥川は無言で前戯を進めていく。
 びびる敦とは対照的に、徐々に体が火照ってくる。
「は……ぁ」
 甘い声を洩らす敦を、芥川はじっと静かに見つめた
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