文学者達ノ恋模様

□死を夢む
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 そもその間違いは、多分こいつが生まれてきたことだと思う。
 
 中原中也は、目の前に転がる青年の頬を、戯れ程度につつきながら考える。青年は、先程盛った薬が効いているのか、気持ち良さそうに、すやすやと眠っていた。
「阿呆面……」
 嗚呼、気に食わない。
 すました顔も、声も全部。
 一泡ふかせてやる。
 中也は背後で揺らめく月を背に、ぞろりと唇を舐めあげた。
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