文学者達ノ恋模様
□虎は月下に身を焦がす×2
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艶やかに
鮮やかに
薊のように色ずく花は
枯れる前に……
「っ…太宰さん、駄目ですって…!」
黄昏に染まるオフィスで響く、敦の焦った雰囲気の声。
二人しか動くもののいない事務所の中で、太宰は堂々と月下の獣を襲っていた。
冷たい床に押し付け、敦のネクタイをスルリとほどく。釦を外し、躊躇うことなくあちこちに指や舌を這わす。
「大丈夫、誰も見てないし」
「違、そういう問題じゃ…あぅッ」
「痛くはしないからさ」
この前と同じ展開に、人知れず敦の心は高鳴った。
徐々に日が落ち、ゆっくりと藍色の夜が広がっていく。
「は…ん、太宰、さ」
「好きだよ、敦君」
一方的な思いのぶつけ方。相手の返事すら聴かずに、太宰は敦の秘部に…
「うわっ!!」
「…」
突然、太宰の視界がひっくり返る。鈍痛が打ち付けた頭に襲いかかる。あまりに急な出来事で、ナニをシていた最中だったのかも一瞬忘れた。
「っ〜頭が、」
「おかしいのは何時もの事ですよ?」
「酷くない、敦君?!」
「そうですか」
しれっと言いのけ、敦は太宰の上に乗っかったまま、不敵に笑った。太宰の顔が、少し余裕のないものに変わる。
「あ、敦君…?」
「はい」
「えっと…形勢が逆転してるのだけど」
「そうですか。寧ろ、これが正しいと思いますが」
「へ?」
急激に近づく敦の顔。きょとんと目を丸くした太宰に、唇が重なる。
可愛らしい容姿からは想像もつかないほど、熱く激しい接吻。どうにかして逃れようとしていた太宰の体から、体力と酸素を奪う。
「ふぁ…ん、ん…はぁ……」
少し眉をひそめ、顔を赤くした太宰を見て、敦はペロリと唇を舐めあげた。
全て欲しい
本能の赴くままに、汚してしまいたい。
壊してしまいたい。
自殺なんか、考える暇もないくらいに。
太宰の艶っぽい瞳が、敦を見つめる。敦は微笑むと、濡れた唇に深く口付けた。
「あぁぁぁぁっ」
すっかり夜に包まれた社内で。この前とは違い、喘ぐのは太宰。
椅子に座った敦の上にお座り、まさしく背面座位。すっぷりと太宰の中に収まったモノは、初めてでまだキツい中を拡張するように震えていた。
「や、あつ、し、くんっ抜いて…っああ!!うごか、ない、でっ」
「嫌です」
「そん、な、ひゃぅっ」