文学者達ノ恋模様
□勿忘草
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死にたい
死にたい
死にたい。
何故かって、それは……
死んだら何か変わるのかな。生きてる意味がわかるのかな。退屈で退屈で、吐きそうなくらい表装を着飾った、気取った世界で。
何で私は生きてるの?
消えたい消えたい消えたい消えたい。
願い続けてここまで来たけど。
あぁ、川が綺麗だ。
こんな綺麗な水底に、溶けるように死ねたなら、消えられたなら。
一体どれ程幸せか。
私は、迷うことなく手すりを乗り越え、中に身を踊らせた。水面が迫る。風が唸りコートがはためく。
そして
「馬鹿ですかぁぁあああああッッ!!!」
水面と激突寸前。私の体が何者かに拐われる。
何者かは、着地に失敗して、浅瀬に尻餅をついた。
冷たい。
「全く!こんな時に…大馬鹿ですかウジムシですか死ぬんですかそうですか馬鹿ですね」
「あ、敦…君?」
怖。
めちゃくちゃ怖い。
「ったく……本当心臓に悪いんで、止めてくださいよ……まぁ、でも」
無事で何よりです。
そんな。
そんなこと言われる資格、無いのに。
嗚呼、嫌だ。敦君が探偵社に来てから、自殺がしにくい。だってこんな、本気で心配してくれる眼、彼以来だから。
歩み寄るのも、歩み寄られるのも怖い。
優しくしないで、気がおかしくなりそうだ。また、私の前から大切な誰かがいなくなるのは、嫌だから。
私が消えてやろうって思っているのに。
「今度自殺未遂したら、太宰さんの恥ずかしい写真ばらまきます」
「……ぇ?な、何その一気にシリアスムードぶち壊す発言」
「はい?シリアス???どの口がほざくのでしょうか」
「え、いやいやいやいや、敦君?」
「あんまりしゃべると犯しますよ」
「えぇぇ…君ってそんなキャラだったっけ」
「キャラ?太宰さん、勝手に僕を決めつけないでくださいよ。僕は僕です。誰かに決められた役を演じている訳じゃないんです」
「敦君…」
「太宰さんだって」
彼岸に花が咲く
後戻りはできない。
きっと、初めてだ。
誰かに、自分が死んでも覚えて貰いたいと思うなんて。
「 」
敦君、君って本当
格好いいね。
私が本とに死ぬときは、君に勿忘草をプレゼントするよ。
だから…
please, give me …...
生きる、生きていた、意味を。
「さ、戻りますよ。僕達の居場所に」