文学者達ノ恋模様

□自殺か君か
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変な頭痛がする。
俺は体を起こそうとして、ぐ、とうめいた。体がまるで動かん。まるで金縛りにあったようだ。
嫌にぼんやりする頭を横に振って、今の状況を確認する。

「…なんだこれは」

体を、縄が這っていた。拘束されている。敵陣か?いや…違うな。ここは、この部屋は……

「やあ、国木田君。何してるの?」

太宰の部屋だ。なんの嫌がらせを思い付いたのか、含みのある笑みで立っている。

「おい、太宰。縄をほどけ」
「えぇ……何だか反応が予想通り…あ、国木田君、知らないの?縛られたままでいると、血行が良くなって剥げないんだよ」
「何、本当か?!」
「嘘だよ」

このホラ吹き狸め。
しかし、こいつのやりたいことがよくわからん。何時もより何か…おぞましさを感じさせる…否、気のせいか?

「ねぇ、国木田君」
「何だ迷惑噴霧器」
「……私は今、凄くやりたい…いや、ヤりたいことがあるんだけど」
「自殺なら樹海でやってこい。そして何故やりたいを言い直した」

本当に何なんだコイツは。訳が分からん。
俺が顔をしかめると、太宰が一歩二歩と近付いてきた。なんとなく逃げ出したかったが、ベッドの上に縛り付けられている為、不可能だ。

太宰は無言のまま、顔を近付け、そして………
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