それでも私は2

□君のために
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「すぐに五老星に掛け合って‼」
マリージョアに帰ったレティの一言目はそれだった。
部屋で連絡を待ち、うろうろとしているレティを訪ねてきたのは父。
「レイティシア。聞いたえ。人質に取られたんだな?怪我はなかったえ?」
「え?ええ、大丈夫です。ご心配をおかけました」
そんなことはどうだっていいのだ。今欲しいのは五老星の返答。エースが一週間後にマリンフォードで処刑されるなんて全く知らなかった。
「エース…」
自己嫌悪に陥った私を救ってくれた人。
初めて自分が天竜人だと教えた人。
私にとって大切な友達。
一緒にいた時間は短くても、彼は私にとって大切な存在なのだ。
エース。
貴方が殺されるのをみすみす何もしないで過ごすなんてできない。


「では、行って参ります」
五老星から面会を跳ね除けられた私は、天竜人として見聞を広めるためという名目でインペルダウンへ向かうことにした。そして、そのままエースの処刑の見学と称しマリンフォードを訪れる。白ひげ海賊団率いる猛者たちとの戦争になる事は必須。政府役人には止められたものの今回の行動を断行した。
白ひげ海賊団と言えば、つい先日、海軍の監視船を潰したと聞いた。いよいよ始まるのかと思うと、じくりと重たい泥が身を這った。
インパルダウンに向かうには、まず海軍本部のあるマリンフォードからタライ海流に乗ってエニエス・ロビーへ向かう。エニエス・ロビーはすでに司法の島としての機能は停止しているので素通りするのだが、九蛇の蛇姫も今回の戦争の発端となるであろうエースを一目見るらしく、途中で合流する事となっている。
少しでも、助けられる可能性があるなら、それにしがみつきたい。
大切な、エースのために。


エースの処刑まであと三日。
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