それでも私は2

□腹を括って
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会場の後方へとぶっ飛ばされるキモ男。
まさか、本当にやるとは。
「悪い、お前ら…。コイツ殴ったら海軍の”大将”が軍艦引っぱって来んだって……」
「お前がぶっ飛ばしたせいで………切り損ねた」
怖っ‼海賊狩り怖っ。
でも、彼らは仕方ない、って表情している。ハチに駆け寄ったナミなんて「ルフィだから仕方ない」って…。一体どんな旅してきたのよ、貴方達。
とにかく、あのハチという魚人の手当てをしなければ…。酷い傷だ。
「レイティシア、早くここを離れるアマス‼」
立ち上がり駆け出しそうになった私の腕を引っ張る母。
待ってよ、私はハチを助けたいの。だって彼はルフィの友達なんでしょう。
「チャルロス兄様〜‼お父上様にも殴られた事などないのに〜‼‼」
「おのれ‼下々の身分でよくも息子に手をかけたな‼この世界の創造主の末裔である我々に手を出せばどうなるか」
ロズワードが銃をハチに向ける。しかしそれをサンジが蹴りで飛ばす。
チャンスは今しかない。
混乱の中、制止する母を振り払ってレティは走り出した。


「大丈夫ですか⁉」
「ニュッ⁉天竜人⁉」
声をかければ驚くハチ。当然だ。天竜人が人助けなんて聞いた事も無い。
ナミがレティを見た途端、手が止まった。開いた口からは言葉が出ないようだ。
「‼」
ナミ、気づいてしまったかな。できれば、出会ったという事実を忘れてて欲しかったけど。
「なんで、天竜人が…」
「大丈夫、止血の方法は前に本で……」

『お前はもう外の世界に出たんだ。本の中の言葉に頼るな。自分の目で見たままに感じた事を、学んだ事を言え。知らないなら俺が教えてやる。だから、もう言うな』

思い出したのはローさんの言葉。もう、私は本の中の世界から出た。あの人の言葉は私の中で生き続けている。
「以前、大切な人に教えてもらったから」
ローさん。もし貴方が私を蔑む事になっても、私がローさんから教わった事は決して忘れません。たとえ、正体がバレたとしても今、目の前で傷ついてる人を助けたい。
私はハンカチを取り出して必死に患部に当てた。それでも血は止まらない。次々に出てくる。
「そんなんじゃ駄目だ‼俺がやる‼」
ハンカチが真っ赤に染まった時、私の目の前に現れたのはたぬき。
「たぬき?」
「たぬきじゃねぇ‼トナカイだっ‼」
あ、”わたあめ好きのチョッパー”ね。なるほど。
「よく分からないけど手伝ってくれ。応急手当だけでもしねぇと…」
「任せて」
大きく頷いた。
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