DOLL

□赤違い
1ページ/6ページ

「ォオオオオオオオオオオ‼︎‼︎」
街をあてもなくブラブラと一人で歩いていると頭上から叫び声が聞こえた。ん?頭上から?
段々と近づいてくる声に目を細めて青空を見つめる。叫び声の正体を探してよく目を凝らせば確かに何かこちらに落下してくるのが分かった。
ズドンッ
「ギャァアア‼︎」
それが人だと気付いた時には既に遅し。声を上げる間も無く空から降ってきた人に俺は潰されていた。
「ふぅ、助かった〜。ありがと、キッド」
俺の上に乗っかったままそう言った声は高く、どこかで聞いた事のあるようなものだった。
少女が起き上がり少し沈黙が流れた。そして、一言。
「………え?」
そこでようやく空から降ってきた少女の顔を見た。
その顔に、髪に、表情に、誰かの面影を見た。
「ああ、お嬢さん、そろそろどいてもらっても?」
その誰かを思い出せないまま、出来るだけ優しくそう言えば少女は慌てて「ごめんなさい」と言って俺の上から降りた。
立ち上がり、改めて申し訳なさそうにする少女を見つめる。誰か。誰かに似ている。
「あの、どうかしました?」
不審そうにこちらを見る少女。そりゃこうもマジマジと見られていれば不審に思うだろう。
「いや、すまない。怪我はないか、と聞きたいところだが、何故空から?」
「えっと…」

「ドフィの馬鹿ァアアアアアアアア‼︎」
あ、あの赤色は‼︎
空から島を見れば街の中に一つ、”赤”を見つけた。
あれは、キッドだ‼︎
「キッドォオオオオオオオオオオ‼︎‼︎」

「と言う訳で…」
なるほど、俺と同じ赤い髪をした奴を間違えた、と。
「…えーっと、ごめんなさいね。何かお詫びを…」
手を合わせて謝る彼女はやはりどこかで見たことのある…。
「いや、大丈夫だ」
「そっか」と言った少女はそのまま走り去っていった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ