DOLL

□新生活応援キャンペーン
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「…という訳でこれからもよろしくお願いしまーす」
「よろしくな、レティ」
「仲間になるのか‼︎よろしくな」
帰ってきたキッドとレティ。キッドの手を掴んで歩く辺りすっかりレティはキッドに懐いたように見えた。そしてキッドも邪険に扱わない辺り気に入っているのかもしれない。
「キラー。これまで通りこいつの面倒はお前が見ろ」
「…分かった……」
キラーはすぐさま悩みの種が増える事を感じ取った。
「レティ、下手な事は言うなよ。お前の事が知れたらこっちも困る」
「大丈夫大丈夫。私誰かと違ってお馬鹿さんじゃないもん」
「馬鹿だから言ってんだよ‼︎」
船が今日からより一層騒がしくなる事は明白だった。


「かんぱーい‼︎」
「乾杯‼︎」
その日の夜はレティのキッド海賊団入りを祝しての歓迎会という名の宴が始まった。
「飲んでるか?」
「うん。初めてお酒飲んだけど、結構おいしいんだね」
レティがクルーを見つめながら一人で飲んでいるのを見て隣に腰掛ける。ジョッキには並々と酒が注がれていた。
「…飲んだことなかったのか?」
正直意外だった。こういう奴だからてっきりあるとばかり。
「お酒は体に悪いからって言われてたの。こんなにおいしいならもっと早く飲んでたらよかったな」
「酒は人によって好き嫌いあるからな。お前はなかなかイケる口だな」
「えへへ。なんかね、楽しくなってくるの〜。身体がポカポカしてきて気分上昇‼︎」
これは酒に酔ってるのかそれとも素なのか。よく分からなかった。
「お前、何でこの船に乗ったんだ?元々一人旅だったんだろう?」
「うーん。キッドが好きだからかな〜」
…何てことだ。
いやいやいや、まだ出会って二日目だぞ。
「キッドといるとね、とても楽しいの…」
なんだ、そっちの好きか…。驚かせないで欲しい。
「…目的は無いのか?ただ島を出たかっただけなのか?」
「キラーもキッドと同じ質問攻め好きだね…。どうなんだろう……。どうせならやりたい事はあるけど達成するかも分からないあやふやな目的…」
やはり酔っているのだ。レティの瞳が揺れているなんて失礼だがありえないのだから。きっとそうなんだ。酔っているから…。
ただ、叶いそうにない夢を追う馬鹿はここにもいるのだと伝えたかった。
「レティ、キッドの夢はな、海賊王だ。…笑うか?」
「笑わない‼︎」
即答した彼女。とても輝いて見えたその笑顔につい頬が緩んだ。そして彼女は続けた。
「だって、それってひとつなぎの大秘宝を追い求めるって事でしょ?素敵な夢だよ‼︎」
「やっぱキッドの船に乗ってよかった」と続けて呟くレティは先程のように瞳は潤んではいなかった。寧ろ生き生きとしていて。
俺は、レティの求める物が何か、少しだけ気になった。
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