HQいろいろ@
□テレキュー!!
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そんな中、仁花は終始うつむき加減である。いつも明るく挨拶しながら入ってくるのに。
謎に思った西谷が「どうしたどうした」と聞いた。
「いえ、なんでもないです」
「なんでもないことないだろ、あからさまに元気ねえし。あ、わかった!カメラいるから緊張してんだろ」
ギャハハと甲高く笑う。
「ふぬっ」
仁花は悔しそうに呻いた。それもそうなのだが、理由は別のところにあると、ボソボソ告げる。
「理由?」
「…………朝、起きたら、鼻の下に、大きな、ニキビが……」
「ニキビぃ〜〜〜?」
一生懸命手で隠す下から、屈んでじろじろ眺め回した。
「あ、ほんとだ」
「昨日は出来てなかったのに……」
「うーん…………潰しちまえ!ブチッと!」
「ぎゃああああああああああ」
「俺やってやろうか」
「いいいいいいです」
大急ぎで逃げていく。その姿はまるでキクイタダキに追われるスズメだ。最終的に、潔子が自前のマスクをくれたことにより収拾がついた。
○
「いつも通りお願いしますー」
誰だかよくわからんスタッフAが大地に言いに来た。先ほどみんなで盗み見たスケジュールによると、テレビが求めている中身は、こうだ。
■烏野高校排球部〜掴め、頂の景色〜
・今年最後の春高……3年生三人にフューチャーしたこれまでの苦労。主将の大地をメインにしつつ、1年にポジションを取られた菅原の本音、挫折を経験した旭の気持ち等々。
・等身大の高校生……凄くったって、みんな普通の高校生なんです☆練習後の買い食い、部活以外の日常パートを収録。
・サーブ練習の隅っこで烏養コーチのインタビュー。「信じてますね、後はやるだけなんで」と言わせる。
・神業速攻!絶対コンビ!……烏野が編み出した今までにない速攻と、二人の名コンビっぷりを紹介!
・コート外の戦い……マネージャー二人の仕事ぶりに密着!
「ま、この中で一番心配なのは」
菅原がバシッと壁に貼ったスケジュール表(勝手に作った)の、絶対コンビの部分を中指の骨で叩いた。
「これだろ」
「ですよねー……」
「なんで!?」
何故か満場一致な空気に日向は抗議した。
「俺ちゃんとやります。影山が足引っ張らなかったら」
「あ?緊張しいがほざくな俺の台詞だ」
「なんだとー!?」
「だからそれだろ?」田中は言う。「ここには絶対コンビって書いてあるだろ?向こうはお前らが仲いいと思ってるんだって。喧嘩ばっかしてるとカットされんぞ」
「カッ────」
「カット────!!」