HQいろいろ@

□テレキュー!!
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 地元のテレビ局がある企画を提案した。春高予選までを第一部として、高校のバレー部に密着しようというものだ。対象は一校に限らずオムニバス形式となる。その対象校の中に、


「俺たち選ばれたよ」


 大地が他人事みたいに言った。

 シンと静まり返る。全員大地のスポーツ刈りをまじまじと見つめた。


「テレビ……?」


「うん。明日から来るって」


 え──テレビって、あのテレビ?一家に一台あって、ボタン押すと手の届かない美人がいっぱい出てくる、あのテレビ?I・Hのとき及川ばっか映して俺たちをガン無視しやがった──ちょっぴり気まぐれで利己主義のテレビが俺たちを選んだ!?


 俺たちもあの箱の中に入るですって!?


「シュー!!」


 西谷がガッツポーズを決めた。両隣の月島と旭は口にこそ出さなかったが、同時に心で(シュー?)と呟いた。


「ど、どんな感じになるんですか!?」


 勢いづく日向に大地はさあ、と首を捻った。どうしてこの人はこんなにものんびりしているのだろう。


「たぶん普段見てるローカルテレビと似たような特集だと思うけど。俺から言いたいのは1個だけ」


 ぴし、と人差し指を立てる。



「お前らさ、テレビだからってカッコつけないでね」


 ギクリ。そんな音が聞こえた気がした。

 瞼を半分だけ閉じて、大地は冷えきった目でメンバーを見渡した。


「いるんだよねえ。テレビだからって普段の自分よりいいところ見せようとして空回るパターンのヤツ……。あるいはカメラにばっか気がいっちゃって全然練習に身が入らないパターンと」


 心の奥底の承認欲求を容赦なくえぐられる。いやそんなことはないんだ、と言い聞かせても大地の言葉が耳に痛すぎる。


「ま、まさかあ?」


 田中の語尾がくるっとひっくり返る。


「ぜ、だ、──ッス」


 おそらく影山は"全然大丈夫です"と言いたかったのだろう。
 大地はまだ疑わしげな視線である。上目遣いで「ほんと〜?」と低く聞いた。全員ヘッドバンキングのごとく激しく頷いた。
 急に破顔して、大地はニッと白い歯を見せた。


「勿論、俺はお前らのこと信じてるけどさ」


 青白い顔の日向の頭をわしわしと撫でる。


「ちょっと聞いただけだって、ビビるなよ!」


 ────ビビるわ!!!!


「君らもね」


 マネージャー二人を振り返ってにやりとする。潔子は普段通り頷くだけだったが、仁花は子うさぎのように飛び上がった。


          ○

 翌日、日向らが体育館に向かうと既にスタッフが勢揃いして打ち合わせに勤しんでいた。思っていたより人数は多くなかったが、オーラが違う。
 入る権利を奪われたような気持ちで、まだ誰も中まで入らない。渡り廊下にたむろしていた。
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