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□行こう!Vリーグ!〜後編〜
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ふ、と下を見下ろすと、影山が自分を見上げていた。なにか喋っている。それよりも、影山が自分を見上げてるって一体どんな状況だ?あれ、そういえばユニフォームだ。自分はいつ着替えたんだっけ?
「そうだ、俺巨人になったんだった!」
誰よりも大きな巨人になれた。これで身長格差で苦労することもない。みすみす青城のブロックに捕まったりしない。今度こそ勝てる!
「そうだよな、影山!」
自分を見上げる影山が、何事か一生懸命喚いて足首を掴んできた。
「────ふん?」
勝手に瞼が開いた。まず飛び込んできたのは純白の世界、ただのシーツ。重い頭を持ち上げて目を擦っていると、足首がひとりでに持ち上がる感触がした。
「……なんだ?」
右見て、左見て、腰を捩って足先を見ると、自分の左足が影山の頭に乗っていた。それを影山が渾身の力でどけようとしているのだ。
(やべえ)
掴まれた足が熱い。これは影山の殺気が手を通して伝わっているに違いない。静かに、影山の上半身が持ち上がってきた。
落ち着け、ひとまず冷静に。
「おはようございます、影山先生」
「起きたんならまず足どけろ!!」
「ぎゃっ!」
両足掴まれひっくり返された。
「いってええ……」
上半身を起こした影山は、朝っぱらからびしびしと人を指差し怒鳴り付けた。
「お前小学生か!頭の方向になんで足が来るんだよ!おまけに踏みやがった、しかも一晩中!」
「もーうるっせえな〜ごめんごめん」
騒ぎで空気が変わったのか、反対側のベッドで背を向けていた菅原が身を起こす。大きな欠伸をしながら腕をガッツポーズにして伸びをした。月島はベッド縁に腰掛け、寝ぼけ眼で眼鏡をセットしたところである。
「ふわああ……ああ、よく寝た。ごめんな月島、俺うるさくなかった?」
「ああ、はい。死んでるんじゃないかってくらい、静かでした」
「それならいいけど……なんか結局全然自分の部屋にいなかったな。日向〜、いったん引き上げるべー」
「はーい」
二人が出ていってから、影山と月島はゆっくり顔を見合わせた。
「あの二人……幽霊見たって言ってたよね」
「……おう」
「いるの?」
ここ、と人差し指で床を指す。影山は操られたように頷いた。
「日向はともかく、菅原さんがいるって言うから、いるんじゃねえの」
「……先生ホテル代浮かしてクソ物件選んだってこと?」
「…………そこは突っ込まない方がいいだろ」
○
どうやら自分たちは出遅れ組のようだ。食堂では既に全員集まってパンやらソーセージを食っていた。賑やかさにほっとする。
元気な朝の姿に、自身のテンションも上がってきた。
「っほ〜〜〜バイキング!食べていいですかー!」
「おう食え食え!食わねえと元取れねえぞ」
空いた皿を持った田中に背中を叩かれる。