お題文

□助手
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(―――助手side)

「教授、今日は良いお天気ですから、窓開けておきますね」

外からの心地よい風が、カーテンを揺らす。
一緒に揺れているオレンジ色の花は、昨日リーマスが持ってきてくれたものだ。

「可愛いお花。なんていう名前かな?…ふふ、魔法植物以外も勉強しなきゃですね」

そう話しかけても、教授からの返事は返ってこない。
最後の闘いから1ヶ月――教授は、ずっと眠り続けている。

ナギニに咬まれた時、教授はあらかじめ作っておいた解毒剤をすぐに打っていた。とは言え、猛毒である。身体への負担は並大抵のものではなく、聖マンゴ病院に運ばれてからも予断を許さない状態が続いた。
なんとか1週間前から容態が安定し、一般病棟に移されたものの。いつ目覚めるかは、誰にも分からない。

「教授…」

最初は生きていてくれるだけでいいと思っていたのに。
今は、早く目を覚まして欲しいと思っている。

声が聞きたい。抱き締めてほしい。一緒に魔法薬を調合したい。一緒にご飯を食べたい。
春には一緒に桜を見て、夏は暑いって文句を言うわたしに呆れて、秋は綺麗な夜空を見て、冬は一緒にクリスマスツリーを飾りたい。



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