お題文

□現実逃避したくてもできない
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「ふぁあ〜、そろそろ寝ますかぁ」

ぐぐっと伸びをしながら、助手はソファーから立ち上がった。
スネイプは1年生のレポートを採点する手を止めずに、あぁとおざなりに返事をする。
時刻は23時。

「ほら、先輩も片付けて下さい。もう寝ますよ」
「もう少しキリの良いところまでやってから寝る」
「ダメダメ、そんなこと言って結局最後までやっちゃうんだから。これ以上先輩の顔色が悪くなったら、わたしがマダムポンフリ―に叱られるんですからね」

ほら、早く早く!とうるさい助手に大きく溜め息をつき、渋々スネイプは立ち上がる。
研究室に備え付けの小さな手洗い場で並んで歯を磨き、各々の寝室の扉に手をかけた。

「それじゃあ先輩、おやすみなさ―い」
「あぁ、寝坊するなよ」
「はいはい」
「はい、は一回だろ」
「先輩こそおやすみなさいの挨拶は?」
「…おやすみ」

良くできました!と満足気に笑った助手の鼻を摘まんで(ぐぇ、と潰れた蛙みたいな声を出した)、スネイプは自室へと入った。
そのままベッドに入り、素直に眠気に従う。ここ暫く夜遅くまで起きていたせいもあって、朝まで一度も起きることなく、ぐっすりと眠った。



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