お題文

□頼むから幻聴だと言ってくれ
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「あの、スネイプ先輩…ですか?」
「……お前は?」
「レギュラスに言われてやって来ました!魔法薬学の質問があるんです」
「レギュラスに…あぁ、そういえば昼食の時にそんなことを言っていたな」
「あの、今お時間大丈夫ですか?」
「……問題ない」
「ありがとうございます!じゃあさっそくなんですが…」

中庭で読書をしていたセブルス・スネイプに話しかけてきたレイブンクローのネクタイをした女子生徒は、いそいそと魔法薬学の教科書を取り出した。
ここがいつもうまくいかなくて…、とラインを引いた箇所を指す指の肌白さと、小さな桜色の爪のコントラストに、スネイプは一瞬目を奪われそうになり――慌てて咳払いをして誤魔化す。
彼女はそれを特に気にする様子はなく「レギュラスに相談したら、スネイプ先輩ならコツを知っているんじゃないかって」と続けた。
スネイプは読んでいた本を視線を戻し――本を読むためではなく、彼女を極力見ないようにするためだったが――素っ気なく答える。

「知ってはいる」
「やっぱり!!教えてください!」
「…僕なんかよりスクラボーン先生に聞けばいいじゃないか」
「あー…わたし苦手なんですよ、スクラボーン先生。“自分を守ってる感”が気に障るんです。まぁあのえこ贔屓の露骨さは、いっそすがすがしいですけどね」
「…ブッ!」



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