お題文

□プライベート
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「じゃあ行ってきますね。すみませんが留守をよろしくお願いします」
「うむ」
「お土産たくさん買ってきますからね。毎日ふくろう便も飛ばしますね」
「うむ」
「家事はホグワーツからハウスエルフが来てやってくれますけど、面倒くさがらずにお風呂はちゃんと入って下さいね。あと、なにかあったらポートキー使って帰って来ますから、すぐに――」
「いい加減にしたまえ!」
「だって〜〜!こんなに長くこの家を離れるなんて初めてじゃないですか!」
「ふん、たかが3日間家族旅行に行くだけだろうが」
「3日間もですよ〜〜!やっぱり行くのやめようかなぁ…」
「馬鹿者!さっさと行け!」
「うぅ、分かりましたよぅ。行ってきます…」


彼女は渋々暖炉に入ると、頭にフルーパウダーをかけて姿を消した。
それが一昨日のことである。

この3日間で教授がやろうと思っていることはたくさんあった。
読みかけの論文や本は随分と溜まっていたし、薬品庫の整理も年末にやったきりになっている。時間がかかる作業はつい後回しになってしまっていて(手をつけても、途中でやれ休憩だ、食事の時間だと呼ばれ中断せざるをえないのでやらなくなった)、この機会に一気に片付る予定だった。
煩わしい邪魔者がいなくなってスムーズに作業が出来る、と喜ばしいとすら感じていた。
しかし、現状はというと――読もうと思っていた本は2ページしか進んでいないし、薬品庫の整理はもちろん手付かずである。



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