お題文

□二つの生活
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同居してすぐは、教授の起きる時間、食事の時間、お風呂の時間、研究に使う時間…などの生活サイクル、それにイギリス式の生活様式と、わたしの生活サイクルと生活様式(わたしは日本式)が全く一致せず、色々トラブルも多かった。
生活様式はわたしが強く希望して日本式が取り入れられたが(例えば食事は和食で箸を使うし、お風呂は湯舟につかる。玄関で靴を脱ぎ、ルームシューズに替える…など)、教授がそれをどう思っているかは分からない。
本当は長く親しんだイギリス式の方がいいんじゃないかな?なんてぐるぐる考えてしまって、つい溜め息。

「はぁぁ…」
「お前が溜め息など…明日は雪が降るやもしれんな」
「あ、教授。やだなぁ、わたしにだって悩みくらいありますよ」
「ふん、話してみろ。どうせくだらん内容だろうが、我輩が聞いてやろう」
「あー、いや、その、大したことでは」
「なんだ?我輩には言えんのか?」
「いや、そういう訳じゃなくてですね」
「はっきりしたまえ」
「あー…その、教授が…」
「我輩が?」
「今の生活スタイルをどう思ってるのかなぁって。わたしが来たせいで、イギリス式から日本式に変えて頂いたじゃないですか。食事も和食ですし」



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