お題文

□帰る時間
1ページ/2ページ


門限、お迎え、そんなものがあるのは小さい頃だけだと思っていた。でも、大人になっても門限やお迎えが当たり前の人もいるわけで。


「はー、たくさん買い物しちゃったね!」
「えぇ、付き合ってくれてどうもありがとう」
「ふふ、ハーマイオニーとのお買い物ならいつでも大歓迎だよ……ん?」
「あら?なにかしら?銀色のなにかがこっちに来るわね…誰かの守護霊?」
「…銀色の雌鹿…教授だ」
「え?スネイプ教授のなの?」

言っている間にその雌鹿はわたしの目の前までやって来て、数回瞬きをした。相変わらず凛として気品溢れる素敵な鹿――。

《どこをほっつき歩いているのか知らんが、もうすぐ門限の時間であることをお忘れですかな?約束の場所に来なければ、付き添い姿現しはしませんぞ》

教授からの伝言を伝えると、さっと溶けるように雌鹿は消えてしまった。

「あちゃー、もうそんな時間だったか…教授が待ってるから行くね」
「え?でもまだ5時よ?」
「うん、門限5時なの。5時にいつも教授が迎えに来てくれるんだ。夕飯の支度もあるし、そろそろ帰らなきゃ。今日はありがと、ハーマイオニー。またね!」
「え、えぇ、気を付けてね」
「大丈夫、教授が来てくれてるから!じゃあ、ばいばーい!」
「また遊びましょうね!……ってあぁもう見えなくなっちゃったわ。それにしても門限5時って…今時の小学生でもないわよ、しかもお迎えつき。まぁ、嬉しそうにしてたからいいけど」



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ