お題文

□はじめまして
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今だからこそ2人での生活が当たり前のようになっているが、当然初めは衝突も多かった。
同居自体を教授が易々と受け入れるはずもないことは彼女も勿論分かっていて、一生分の勇気と覚悟と僅かな私物を詰めたボストンバッグ1個を握り締めてドアを叩いたのだ。
出てきた教授は話を聞くなり杖を彼女の目の前に突きつけて、冷たく言い放った。


「我輩に構わないでもらいたい。お前は自分の仕事があるだろう」
「いいえ、もう辞表を出してきました」
「勝手なことを…」
「もう決めましたから!わたしが教授の身の回りのお世話をします!そうすれば教授は研究に集中出来るじゃないですか」
「余計なお世話だと言っているのが分からんのか!」
「余計かどうかなんてわからないじゃないですか、掃除でも洗濯でも料理でもなんでもやりますよ。とにかくここにおいてもらわないと、わたし行く場所がないんです!」
「〜〜ッ! もういい!好きにしろ!…お前の部屋は空き部屋でいいな」
「は、はい!」

(うそ…自分で言い出しておいてなんだけど、まさか本当に教授が折れてくれるとは思ってなかった…説得だけで1ヶ月くらいはかかると思ってたのに。とにかく良かった!)



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