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□夫婦
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失敗した。完全に。
数分前、なにも考えずに発した言葉を後悔してもどうしようもない。それは十分理解しているが、それでもやっぱり後悔せずにはいられない。

(だってまさかこんなことになるなんて…いや、こんなことにはなるか…教授にあんなこと言ったらそうなるわな、うん)


事の始まりは、おやつにさくらんぼを食べているとに、わたしがポロリと溢した言葉だった――


「…ほう、さくらんぼの茎を口の中で結べる者は、キスがうまい、とな?」
「あ、いや、ちが…うー、違わないです、けど…。所謂 迷信ってやつですし、」
「ふむ、ならば確かめてみるか」
「え、」
「どれ、やってみなさい」

言って教授は満面の笑みを浮かべながら、さくらんぼの茎をぐいぐい押し付けてくる。
わたしは口をギュッと一文字に結んで耐えていたが、勿論教授も諦めない。

「〜〜〜っ!もう…むぐっ」

堪えきれずに開けてしまった口に、ぽいっと茎が放り込まれる。仕方がない、と諦めて、舌を使ってなんとか結ぼうとしてはみるものの…



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