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□助手
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ふくろうから荷物を受け取り、包装を剥がすと立派な桐箱が姿を現した。
ぱかり、と蓋を開けると、中にはつやつやに輝くさくらんぼがぎっしり。

「わぁ―、さすが桐箱入り!高級感あるなぁ」
「…なんだこれは?」
「あぁ、教授は日本のさくらんぼは初めてでしたっけ。これは佐々錦っていう品種のさくらんぼです。小振りですけど、甘酸っぱくて、みずみずしくて美味しいんですよ。レギュラスが2箱あるからお裾分けって、1箱くれたんです!」
「…あぁ…レギュラスか、」
「…? 今洗ってきますから、おやつに食べましょうか」
「うむ」

ザルに移して、何度か水を換えながら洗ったさくらんぼを、涼しげなガラスの器にうつす。
摘まみ食――味見の為に1つ食べると、適度な酸っぱさの中に上品な甘さ。小粒ながらも驚く程みずみずしかった。

「んん、美味し―い!」

もう1つ…と手を出しそうになるのをなんとか堪えて、冷蔵庫で冷やしておいたアイスティと氷の入ったグラスと一緒にリビングへと運ぶ。
教授は読んでいた本に栞を挟んで、杖で簡単にテーブルの上を片付けてくれた。



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