学生時代

□教授にデートの誘いを邪魔される話(学生)
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「あぁ、やっぱりそっちに行っていたのね」

地下室から大広間へと続く階段を登っていると、上から親友の声が降ってきた。

「あれ?もしかして捜した?」
「わたしじゃないわ、ハッフルパフの…あー、トムだったかサムだったかが捜してたわよ。多分地下室にいるだろうって言っておいたけど、会わなかった?」
「ううん、誰にも会ってないよ。えぇっと、なんの用だったの?」
「さぁ、分からないわ。わたしはあなたの居場所を聞かれただけだから」

言って彼女は肩をすくめた。わたしもハッフルパフ生に捜されてる理由に心当たりはない。

「ふーん…ま、そのうち会えるでしょ。それよりもわたしお腹空いちゃった。早くご飯食べ行こうよ」
「はいはい、走ると転ぶわよ」
「もう、そんなわけな――うわあっ!」

曲がり角から飛び出してきた誰かにぶつかり、思いっきり尻餅をつく。
「いたたた…」と、顔をしかめながら相手を見ると、ハッフルパフとの合同授業で何回か隣になったことのある男子生徒だった。

「ごめんなさい、わたしがちゃんと前を見てなかったから…」
「いや、僕も急に飛び出したから…ごめんね。大丈夫?」
「うん、ちょっと転んだだけだから。じゃあね」
「あ、待って!」
「ほへ?……あ、もしかしてわたしを捜してたのって…」

振り向くと、親友がコクンと頷いた。そのまま大広間を指差して口パクで(先行ってるわ)と言われたので、前に向き直る。



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