本当のマジを知ってるか?

□第4章 休息
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今日は日曜日。

俺は1人、家でゆったりとしていた。

『あー、やっぱりクーラー効いた部屋にいるの好きだなー』

ソファに寝転ぶ俺は、上半身は裸で、下にはジャージ。

ほんと…ヲタにも言われたけど、だらけきってんなー。

かといって、何かする事もないしな。

と、その時インターフォンが鳴った。

んー?

誰だろ。

モニターを確認すると、でかでかとゲキカラの顔が映し出されていた。

俺は通話ボタンを押す。

『はい…』

(ゲキカラ 「雪哉ー!!!」)

っっっ!!??

スピーカーが壊れるんじゃないかと思った…。

(ゲキカラ 「雪哉ー!来たよー!」)

いや、来たよーって…別に呼んでないし…約束もしてないんだけどな…。

『お、おう。とりあえず、カギ開けるから上がってきな』

俺はオートロックの解錠ボタンを押す。

(ゲキカラ 「わかったー!」)

そう言って入り口の方に行くゲキカラ。

通話を切って、俺は玄関の鍵を開けに行く。

そして、1分ほど玄関で待っていると、ドアが開いた。

ゲキカラ 「あ、雪哉」

『よっ、とりあえず、入りな』

そう言ってゲキカラを中に入れて鍵をしめる。

『そこ座りな?』

そう言ってゲキカラをソファに座らせる。

『何か飲む?』

ゲキカラ 「えーっと、うん、飲む」

『ん、了解』

なんか、さっきとは違って随分と静かだな。

俺は冷蔵庫から麦茶を取り出し、氷の入ったコップに注ぐ。

麦茶を冷蔵庫に戻し、コップを持ってゲキカラの方に行く。

『ほい、麦茶』

そう言ってゲキカラの前に麦茶の入ったコップを置く。

『冷たくて美味しいぜ』

ゲキカラ 「…うん」

ん?

やっぱり、元気ないな……どうしたんだろ。

『何か、あったのか?』

ゲキカラ 「え?」

『いや、いつもみたいに元気ないからさ、どうしたのかなーって』

ゲキカラ 「………」

そう言うと、また少し下を向いてしまった。

さっきインターフォンのスピーカー壊そうとしてたゲキカラとは、全然違うじゃん。

『何かあったんなら、話してな。ゆっくりでいいから』

ゲキカラ 「うん………」

それからもゲキカラは、少しの間俯いたままだった。

俺は無理に聞くような事はせずに、ゲキカラのペースに任せる事にした。

ゲキカラ 「……あのね…」

『うん?』

ゲキカラ 「……ブラックに怒られちゃって…」

『そうなの?』

ゲキカラ 「でも、私が悪いの…ブラックが大事にしてたグラス割っちゃったから……」

『…そうだったんだ……』

ゲキカラ 「……私が悪いのに……逆に怒って………」

『そっか……どうして、グラス割れちゃったの?』

ゲキカラ 「……メロンパン…」

『え?』

ゲキカラ 「…買ってきたメロンパンが…凄く美味しくって……ブラックにも食べて欲しくて…走ったら棚にぶつかっちゃって……それで……」

なんとも、ゲキカラらしい理由だな…。

『そっか…素直に、謝れなかったんだ』

ゲキカラ 「……うん」

『……このままでいいの?』

ゲキカラ 「え…?」

『このまま、ブラックさんと喧嘩したままでいいの?』

ゲキカラ 「やだ!ブラックと仲直りしたい!」

『じゃあ、する事は一つだよね』

俺がそう言うと、ゲキカラは頷いた。

『俺も一緒に行くから、ブラックさんに謝ろう?』

ゲキカラ 「うん」

俺は、すぐに上着を着て、ゲキカラと一緒に外に出る。

やっぱり、夕方でも外は暑かった。

ジメジメした空気が、肌にまとわりつく。

俺の住んでるマンションから数百メートル、ブラックさんとゲキカラの住んでるマンションまで来た。

ロビーに入り、301とプッシュしようとした時に、後ろから声を掛けられた。

ブラック 「け、ゲキカラ!」

振り向くと、そこには息を切らして、汗をかいているブラックさんがいた。

ゲキカラ 「ブ、ブラック……」

ブラック 「探したんだぞ」

ゲキカラ 「………」

俺は、ゲキカラの肩を優しくポンと叩く。

ゲキカラ 「……ブラック、ごめんなさい」

ゲキカラは、ブラックさんの目を見てちゃんとそう言った。

ブラック 「ゲキカラ…いや、私の方こそ、すまなかった…大人気なかったな」

ゲキカラ 「…許して、くれる?」

ブラック 「あぁ、もちろん」

ブラックさんがそう言うと、ゲキカラはブラックさんに抱きついた。

ブラック 「…まったく。ゲキカラは、雪哉の所に行ってたのか?」

『えぇ、そうです』

ブラック 「そうか、悪かったな。ゲキカラが走って出て行ってからすぐ追い掛けたんだけど、もういなくって」

じゃあ、ゲキカラも走って俺の家まで来たんだな。

『いえ、仲直り出来て良かったです。じゃあ俺、帰りますね』

ブラック 「いや、お礼に晩御飯食べて行ってくれ」

『え、いいんですか?』

ブラック 「あぁ、その方が、ゲキカラも喜ぶ」

『じゃあ、お言葉に甘えて』

それから俺は、ブラックさんの家に上がり、晩御飯をご馳走になってから家に帰った。
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