本当のマジを知ってるか?

□第2章 仲間
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雪哉side

階段を降り切ると、1つの扉がある。

俺はその扉を乱暴に開けた。

『ブラックさん!』

中に入ると、パソコンに向かうメッシと、床に寝かせられているブラックさんがいた。

メッシ 「雪哉、来てくれたのか」

『あぁ、前田達は大丈夫そうだったから、こっちに来た。ブラックさんに何があったんだ?』

メッシ 「私は、ずっとここに居たから、詳しくは分からないけど…スタンガンを何発かくらったみたい……」

『………』

俺は、ブラックさんの側に座り、眠っている顔を見る。

メッシ 「ヤギが言ってた…ずっと最前線で戦ってくれてたって…でも、後ろからの攻撃を避けられなかったみたいで…」

『そっか』

ブラックさん…。

最前線で皆を守り続けてくれたんですね。

俺は、ブラックさんの額に手を置いて、ありがとうございますと、伝えた。

『メッシ、データの方は順調か?』

メッシ 「あぁ、今最後の関門を突破したところ。ここまで来れば、後はデータをこのHDDに移行するだけ」

そう言ってメッシは、事前に調達しておいたHDDを、USBケーブルを経由させてホストコンピューターと接続させる。

『あと、どれ位掛かりそうだ?』

メッシ 「全てのデータを移行させて、ホストコンピューターのデータを全て破壊し終わるまで…あと20分!」

『分かった』

そこまで言った所で、ホルモンの5人が降りてきた。

ヲタ 「ちょっとどいてくれ!」

バンジーを担いだヲタがそう言ってくる。

『な、どうした!』

ヲタ 「バンジーとアキチャが、スタンガンくらっちまった」

ヲタがブラックの隣にバンジーを寝かせる。

ウナギとムクチが、その横にアキチャを寝かせる。

ウナギ 「アキチャが後ろから来た看守にスタンガンでやられて…倒れたアキチャを助けようとしたバンジーも…」

ヲタ 「…くそっ!」

俺は、血がにじむ程に拳を握り締めた。

俺が、下に来てなかったら…。

俺は全速力で階段を駆け上がり、皆の元へ行く。

『皆!誰かと背中を合わせて戦え!』

おたべ 「雪哉?」

『絶対に死角を作るな!』

ヲタとウナギとムクチも、階段を駆けあがってくる。

『お前らは、3人に付いていてやってくれ』

そう言うと、ヲタが真剣な顔で怒った。

ヲタ 「ふざけんな!危ねぇからって逃げてたんじゃ、あいつらに笑われる!」

ウナギ 「それに、ここで逃げるんなら、はなから来てねぇよ!」

ムクチ 「そんなの…マジじゃない」

『お前ら…』

ゲキカラ 「ヲタ!」

ヲタ 「ゲキカラ!?」

ゲキカラはこっちまで来て、自分が元いた場所までヲタを連れて行く。

ゲキカラ 「あはは、背中、任せた」

そう言って、ヲタの背中に自身の背中を付けるゲキカラ。

ヲタ 「…あぁ!」

2人は、後ろの事なんてなんの心配もしてないかの様に戦う。

アンニン 「ヤギ、背中よろしくね」

そう言ってアンニンも、ヤギに背中を付ける。

ヤギ 「アンニンさん、分かりました」

そして2人も、目の前の敵を蹴散らしていく。

『おたべ』

俺はおたべの近くに行く。

おたべ 「なんや?」

『……こっち側は頼んだ』

俺はそう言って、敵陣の真ん中を突き進む。

おたべ 「ちょ、雪哉!!」

多分、おたべの声は聞こえてなかった。

俺は、看守達を蹴散らす事だけを考えていた。

『お前ら、生きて帰れると思うなよ!!』

おたべ 「あかん、完璧頭に血ぃ登ってるで!」

『まだまだ!』

俺は、周りにいる看守を、ことごとく蹴散らしていく。

それでも、まだまだ終わりそうもない。

おたべ 「ムクチ!私の後ろ任せたで!ウナギはダースと組み!」

ウナギ 「え」

ダース 「え、じゃない!はやくしろ!」

ウナギ 「お、おう!」

ダースの後ろについたのはウナギ。

おたべの後ろには、ムクチがついた。

おたべ 「あんたら、今かなり頼もしいで」

ムクチ 「おたべも」

おたべ 「ははは、そら嬉しいわ」

ムクチ 「こっちは、任せて」

おたべ 「ほな、頼むわ!」

2人は、共に背中を合わせて戦っている。

それが視線の端に映った俺は、少し微笑む。

ここに来て…得られるものも、大きいな。

『どんどん来い!』

そう叫び、再び看守達を蹴散らす。

いつ終わるか分からないこの戦闘。

でも、誰一人として諦める事はしなかった。
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