本当のマジを知ってるか?

□第2章 仲間
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雪哉side

前田 「ブラックさんが…やられたらしい」

『…は?』

前田 「はじめは100人位だった看守も、どんどん増えてきて…今はゆうに200以上いるって…」

『………』

前田 「私達も、特別房から仲間を救出したら、すぐに向かう」

『分かった…』

前田 「こっちは私達だけで大丈夫だから、行ってやってくれ」

そう言うと、前田達は階段を駆け上がっていった。

おたべ 「まさか…こんなことになるなんてな…」

『…他の班にも確認を取る』

俺たちは走って別館に向かいながら、優子さん達に連絡を取った。

『こちらα1の雪哉、聞こえますか?』

数秒あいてから、トリゴヤさんが出た。

(トリゴヤ 「こちら、えーっと…α…3?…のトリゴヤ!」)

『トリゴヤさん?そっちは大丈夫ですか?』

(トリゴヤ 「うん、大丈夫だよ!優子さんとサドとバンカーちゃんが頑張ってくれてるから、何も問題ないよ!」)

『そうですか、良かった…』

(トリゴヤ 「何かあったの?」)

『…いえ、大丈夫です。何かあったら連絡ください』

(トリゴヤ 「うん、分かった!」)

トリゴヤさんとの通信を切る。

『入り口の方は、何も問題無いみたい』

おたべ 「ほな、ネズミの方にも連絡とっとき」

『あぁ』

俺はトランシーバーで、ネズミ達に向けて声を掛ける。

『α1の雪哉だ、誰か聞こえるか?』

そう問いかけても、返答が無い。

『α1の雪哉だ、誰か聞こえるか?聞こえたら返事してくれ!』

数秒後、トランシーバーから声が聞こえた。

(ネズミ 「こちら…α4のネズミっス…」)

『ネズミ!大丈夫か!?』

(ネズミ 「だ、大丈夫っス…今…やっと終わった所なん、スよ…さすがに…誰も動けないっス…」)

『看守達は!?』

(ネズミ 「最後の増員が、暫く前なんで…多分…殆どがコンピューター室の方に行ったっス…」)

『そうか…』

(ネズミ 「1番少なかったあっしでも…58人っスからねぇ…みんな…すぐには動けないっスよ…」)

『……分かった…俺たちは別館のコンピューター室に行く。もし、またそっちにも看守が行ったら、すぐ連絡しろよな』

(ネズミ 「了解っス…あっしらも、動けるようになったら、コンピューター室に向かうっス」)

そう言って、ネズミは通信を切った。

おたべ 「向こうも、しんどそうやったな…」

『あぁ…でも、もう看守達も行ってないみたいだし、ひとまずは安心だな』

ダース 「それにしても、随分多く行ったみたいだな」

ゲキカラ 「1番少ないって、倒した看守の数が1番少ないってことだもんね?」

おたべ 「4人おって、1番少ないのが58人て…200人以上おったっちゅう事やもんな」

『なんとなく想像出来るぜ、律儀に数えてたって事は、おおかた競争でもしてたんだろ』

おたべ 「負けず嫌いばっかりやで」

『優子さんあたりも数えてそうだな…』

俺たちは、少し苦笑しながら、走っていた。

『ここか』

本館と別館を繋ぐ渡り廊下まで来た。

ダース 「よし、行こう」

『おう』

俺たちは、渡り廊下を通って別館に入る。

そして、長い廊下を突き進むと、そこにはロビー一面を覆い尽くす看守がいた。

俺はそれを確認すると、走ってきた勢いそのままに看守達を蹴散らしながら進んだ。

看守 「こっちからも来たぞ!!」

看守 「こいつらも仲間だ!捕まえろ!!」

おたべ 「今更気付いても遅いねん!」

ゲキカラ 「あははは!」

ダース 「何ダースでも来い!」

俺たちは、端からどんどんと蹴散らしながら、中央の辺りまで来た。

周りにはまだまだ、看守がいる。

だが、中央まで来た事で、地下へと続く階段の前に陣取り、看守と戦っている奴らを確認し出来た。

おたべ 「あそこ居んの誰やろっ!」

『っ、さすがに此処からじゃわかねぇな』

俺たちは話をしながらも、看守達を倒していく。

『ゲキカラ!ダース!』

名前を呼ぶと、2人とも近くに来る。

ゲキカラ 「なにー?」

ダース 「どうした?」

『とりあえず、あそこにβの奴らがいるみたいなんだ。とりあえず、合流しよう』

ゲキカラ 「うん、分かった!」

ダース 「じゃあ、雪哉とおたべはあそこを目指せ。私達は、うしろから来る奴らをやる」

『了解。じゃあ、背中は任せた』

おたべ 「ほな、進もか」

そう言って俺とおたべは、階段の方を向き、看守達と対峙した。

距離にしたら…10〜15メートル程度だろうか。

倒す事よりも、進む事を前提にやれば、そんなに時間はかからなそうだな。

5分で、10メートル程進んだ。

すると、今迄は看守達ばかりで聞こえなかったが、アンニンやヲタの声が聞こえてきた。

『アンニン!ヲタ!もう少しでそっちに出られる!中央から突破するから、援護頼む!』

アンニン 「分かった!」

ヲタ 「任せろ!」

2人の声が聞こえてすぐ、俺たちの前がぐらつき始める。

ここまで来たら、無理矢理行った方が良さそうだな。

『おたべ!無理矢理にでも突っ切るぞ!』

おたべ 「せやな、その方がええやろっ!」

『ゲキカラ!ダース!俺たちが先に行く!2人もすぐに来い!』

ゲキカラ 「分かった!」

ダース 「あぁ!」

『おたべ、行くぞ!』

俺とおたべは、目の前にいる看守達を押し退けてアンニン達の元に辿り着いた。

そして、俺たちが辿り着いた数秒後には、ゲキカラとダースもこちらにやってきた。

ヲタ 「雪哉!」

『ヲタ、大丈夫か?』

俺たち4人は、一息つく間もなく階段を背に看守と戦い始める。

ヲタ 「あぁ、なんとか!」

ウナギ 「俺たちはずっと5人で固まって動いてるからな!」

バンジー 「そう簡単にはやられないよ!」

『ふふ…そうだな』

ヲタ達…本当に頼もしいな。

アンニン 「下には、メッシとブラックがいる」

おたべ 「雪哉とゲキカラ、一旦下げてもええか?」

アンニン 「うん、大丈夫」

おたべ 「ほな、雪哉とゲキカラは一旦地下行ってき!」

『は!?っ、なんでだよっ!』

おたべ 「ブラックさんの事、心配なんやろ!?ええから、はよ行き!」

『おたべ…悪い、すぐ戻る。ゲキカラ、行くぞ!』

ゲキカラ 「ううん、私はこいつらの相手する!」

『え?』

ゲキカラ 「いま私がそっち行ったら、ブラックに怒られちゃうもん」

『…分かった、すぐ戻るから、ちょっと待ってろ!』

そう言って、俺は階段を駆け下りた。
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