長い旅の夢
□第一章:開戦、運命の三時間
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鴎暦842年水の月03日。
魔導院陥落の危機を前にしたペリシティリウム朱雀の朱雀軍令部は、朱雀全土の部隊に対して、速やかに魔導院に救援すべしという命令を発した。
「此処も、全滅……」
血に染まった誰のかも判らない破れたマントを大切そうに握り締め、煙の上がる瓦礫だらけの街を歩く一人の少女が居た。
ピコン、と場に合わないCOMMの通信音が鳴り響く。
「おーい、ペルシャ!聞こえるか?」
COMMから聞こえてきたのは戦場に合わない明るい声。
「こちらペルシャ、何かありましたか、ナギさん」
「おいおい、ナギさんはよせって言っただろ?」
明るい声の持ち主はナギ・ミナツチ。
一つ先輩に当たる人で、任務のサポートをしてもらっている。
「わ、わかりました……で、ご要件は?つまらない事言ったら切りますよ」
「そんな怖い事言うなって〜、幻の戦士にCOMMを届けてくれ」
「…幻の戦士に…?0組の事ですか?」
「あぁ、ペルシャにとってもこれが最後の任務かもしれねぇしな、ある意味で」
幻の戦士と呼ばれる0組。
その戦士は何者なのか、いつ現れるのかもわからない。
「なぜ、私が?」
「さあな、そこまでは知らねーよ」
「…そうですか。では、ある意味で最後の任務を開始しますよ」
不貞腐れた様に言い放つとCOMMの先でクスクスと彼が笑っている。
では切りますよ、と言ってブツリと切った。
「最後の任務、ですか……」
ふっと笑いを溢し血に染まったマントを握り締める。
「…最後の任務、開始します」
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