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□BE FULL OF MY LOVER
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!12345を踏んでくださったゆい様へvv裏有りとのリクでしたので、目隠しぷれいです!ゆい様、りくありがとうございました!
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「獄寺、助けて」
受話器越しに聞こえたその声に、頭の中が真っ白になった。
*BE FULL OF MY LOVER*
もちろん、冗談ではなかったのだけど。もう少し言葉を選ぶべきだったと我ながら思う。
「おい、どういうことだ」
元気に手を振った自分が相当気に入らなかったらしい。まさに怒りに打ち震えています、といった体の獄寺。こうやって怒るのはいつだって照れ隠しなんだけど、まさか、突然のあんな電話に泣いてくれたんだろうか。
だとしたら、弱みを見せることを厭う彼だ。怒りの具合は半端ないものになる。
「獄寺、とりあえず落ち着けって」
「落ち着けだぁ?! ふざけんなよテメェ!!」
ぶん、と空を切って拳が振り下ろされる。慌てて横に避けようとするも、そうだ、今は。
がつん、と殴られて、山本はベッドから転げ落ちた。
「…は? ちょ、おい?」
多分彼も、自分が避けると思っていたのだろう。いくら彼にとってそれが不本意でも、そう思っていただろうことは確かで、だからこそ驚きに目を見開いていた。
−−目を見開いていたか、実際は見えないのだけど。
叫んだりベッドから落ちたりとうるさかった二人に向かって、看護士が何か叫んだのが聞こえた。
「うるせぇな…」
「こら、獄寺。うるさかったのはオレ達なんだから」
「……なんなんだよ、お前。あんな電話しやがって。ていうか、なんで避けねぇんだよ」
「…罪の意識、とか?」
「ふざけんな!!」
床に座り込んだままだった山本の胸倉を掴み上げ、獄寺はゆらゆらと瞳を揺らした。
もう唇が触れそうなぐらい近づいて、そうしてようやくはっきり顔が見える。
「野球やっててさ」
「…」
「球、こっちに飛んできて。よそ見してたら…顔にぶつかっちゃったのな」
もしよそ見の原因が君だといったら、獄寺はどんな反応をするんだろう。
怒るんだろうか。悲しむんだろうか。
いっそ、喜んでくれたら嬉しいのに。それぐらいの独占欲を、持っていてくれたらいいのに。
自分の想像ににへら、と笑って、山本は「視力が落ちたんだ」と病院に運ばれた理由を口にした。
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