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□リッチタイム
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「そっか、なるほどなー」

ぽんと両手を合わせて獄寺の顔を覗き込む。先ほどから不機嫌そうに寄せられていた眉がさらにぐぐっとなって、思わず笑ってしまった。
睨むようなそれと目が合って、足蹴にされる前にと慌てて立ち上がり後ろに回り込む。獄寺の身体を背中から抱くと、彼はちっと舌を打った。

「獄寺、拗ねてんだ?」
「……」

返事はない。ただ、微かに赤い耳が答えを示していて。

「いつものことじゃん。小僧にからかわれんの」

オレとしては、なんでもないことのように言ったつもりだったけど、獄寺は違ったらしい。俯いて、膝まで抱える勢いで前屈みになってしまった。

「……おまえは違うだろ」

ぼそ、と体勢のせいでいつも以上にその声は聞き取りづらい。それでもなんとか言いたいことはわかった。
まあ、たしかに。後ろでこっそり頷く。
獄寺は、なぜかやたらと小僧を慕ってる部分があったけど、それが報われた様子はあまり見たことがない。普段、ツナに連いて回ってるときはしあわせいっぱい!って感じだけど、小僧は……どうだろう。
逆に、オレは結構、小僧にいろいろしてもらってるような気がする。おもしれーバットも貰ったし、稽古つけてもらったこともあるし。

「じゃあ、小僧に獄寺のことも構ってやれって言おうか?」
「…………」

しまった、失敗。
それはそうだ、獄寺はそういう助言が嫌いなんだった。多分、オレに負けた気持ちになるんだろうと思う。

黙りこくってしまった獄寺に、どうしようと頭を捻る。このままじっとしてるのもちょっと気まずい、というか手を出したくなってくる。
と、獄寺がゆっくり顔をあげた。

「……嫌われるのは」
「ん?」
「嫌われるのは、別に、慣れてるからいい」
「ごくでら…」
「ただ、他の奴がその人に褒められてると、むかつく」
「……でも、多分、小僧は獄寺のこと嫌ってはいないと思うのな」
「知ってる」

間髪入れずに返ってきたのは少し照れたような声だった。さっきよりも赤い耳に、ばつの悪そうな顔している獄寺が一瞬で想像出来る。
要は、やっぱり拗ねていたとそういうことらしい。オレは獄寺の腹のあたりに回していた手をぐっと引き寄せた。

「獄寺可愛いのな〜」
「っだからなんでおまえはそういうこと…!」
「なんでって…事実だから」
「〜ッ」

ふら、と横に倒れそうになる獄寺を引き止め、首元に顔を近づける。







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