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□大人≒レンアイジョウズ
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いつの間にか義務や慣習のようになってしまったセックスに、堪えられなくなったのはオレだった。
時を恨むつもりはないけど、悔しかった。好きだっていう気持ちは、そんな簡単に揺れるものじゃなかったのに。


【山本】


「…はあ…」

隣で、隼人が気怠そうに息をついた。
目を閉じて浅く息を繰り返す様を見ながら、オレも深くベッドに沈む。
どうしようもなく、隼人に触れるのが憚られて、その乱れた髪を撫でたいと思うのに手が動かない。

「隼人」

だからごまかすように名を呼ぶ。こっちを向いてくれたら手を伸ばそう、そう思った。
でも、隼人は目を閉じたまま「……んだよ」と呟いた。そのトーンが今にも寝そうだということをオレに教える。

「シャワー浴びないと明日大変だぞ」
「…そんなことわかってる」

絶対嘘だ。もうほとんど寝かけているくせに。仕方ないからツナの名前を借りることにする。
「明日はツナの護衛じゃねーの」小さな声で言ったにもかかわらず、隼人はがばりと起き上がった。一瞬顔をしかめ、そのままこちらをちらりとも見ずにシャワー室にかけていく。
オレはその背を目で追って、溜息をついた。


お互い一回ずつ。翌日の仕事に支障がでるから、なるべくスケジュールを確認して寝る日を決める。
そうやってセックスすることを制限…調整するようになったのはいつからだろう。
一切しないわけじゃなく、身体に悪くないように適宜に。それはまるで義務や慣習のようで、愛があったって無くたって関係ないみたいで、辛かった。
どちらから言い出した話だったのか、何がきっかけでこうなったのか、もはや覚えていない。

…気持ち良いことに変わりないところが、悔しかった。隼人を抱いて、気持ち良くならないことなんかなかった。隼人も、気持ち良いかと聞けば頷いた。
だから、衝動のままに無理矢理、も考えた。何回も考えた。ただ、その度に嫌われるのを恐れた。
もう隼人はオレのことが好きじゃないのかもしれない。だからこうやって感情も無く決まった回数寝れる。そんな考えが過ぎって堪らなくなって、でも現状打破は出来なくて。

大人になればなるほど、臆病になると思った。昔なら、無理矢理抱いて、隼人の気持ちを探ったし、それで上手くいった。多少失敗もあったけど、隼人がオレを好きでいてくれてる自信があったからいくらでも動けた。
なのに。
今のオレは、こうして隼人が帰ってくるのを待つことしか出来ない。確かめることも、自分の思いをぶつけることも叶わない。ただズルズルとこの関係を続けて。

いずれ限界がくる。オレは寝返りをうって、隣に背を向けた。






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