Main2

□YOU LIKE WHICH?
1ページ/7ページ


!新35000を踏んで下さった伊徒さまへvv『縛り+目隠し』と、欲張って猫まで書かせていただきましたvv伊徒さま、素敵リクありがとうございました^^これからもよろしくお願いいたします!





##


「あ」

帰り道、ふとツナが足をとめた。そのあとすぐ獄寺が続いて、オレも二人の後ろに立ち止まる。

「猫だ」
「猫っすね」
「猫だな」

三人で覗き込んだ先、段ボールに入った小さな猫がいた。
季節はまだまだ冬で風も冷たいし日差しも弱い。震えているのか灰色の毛が揺れて、オレは腹が立って舌を打った。
なんでこんな。

「本当にこうやって捨てちゃうんだね…」

ツナが呟いてしゃがみこむ。
ほんとだ。どんな理由があったのか知らないけど、こんな風に捨てるなんて責任感がなさすぎる。そんなこと、オレたちだって知ってるのに。
もっと他の方法は無かったのか?

オレも無言で頷いてツナの隣にしゃがむ。にゃあ、と小さな声が聞こえた。
その頭を撫でようとして、手を止める。オレなんかが無責任に触っていいんだろうか。

「おまえ、家くるか?」
「え…?」

上から降ってきた言葉に弾かれて顔を上げる。白い息がはああと吐かれて、獄寺が呆れたように笑った。「馬鹿、おまえじゃねーよ」
ひょいと獄寺の腕に抱えられた猫は、小さかった。にゃあとまた鳴いたその声が、なんとなく嬉しそうに聞こえて悲しくなる。
って、あれ?

「獄寺、その猫つれて帰んの?」
「は? …当たり前だろ。なんで」

本当に不思議そうに聞かれて、オレは獄寺が天使に見えた。なにコイツ、なんでこんなかわいいんだよ。あっさり連れて帰ると言う獄寺が、無性に可愛くて、そしてかっこよく見えた。
きっと、一人暮しだから躊躇いなくすぐ拾えた、とか、そういうわけじゃない。単純に捨てられてたから拾ったんだ。(こんな言い方悲しいけど)
オレの視線に何を思ったのか、獄寺は突然考えるように左右を見て、ああ、と口を開いた。

「なに、おまえが飼いたかったの?」
「いやっ。うちは寿司屋だし無理…」

なんとなくその理由が恥ずかしくて軽く首をふる。獄寺、オレのこと幻滅してねぇよな…?
ツナが、

「オレもランボとかいるから…獄寺くん、ありがとう」

と笑ったら、獄寺は「えっ!」と目を見開いた。

「そ、そんな、10代目にお礼をいただくようなだいそれたことではないです!」
「ううん。ありがとう。獄寺くん、やさしいね」
「何言ってるんですか! おやさしいのは10代目です!」

ほんとは10代目が連れて帰りたいんですよねコイツ。なのにオレに譲って下さるなんて!ランボなんか関係ねーじゃないスか!
勝手にそうまくし立てる獄寺。ツナは一瞬戸惑って、でもにっこり笑って頷いた。

なんつーか、さ、

「あーもうおまえら二人とも優しいのな!」

嬉しくなって、獄寺とツナの肩を抱く。獄寺には嫌がられたけど、離してなんかやらない。
にゃあ、腕の中の小さな命が繰り返し泣いて、なんだか寒さを忘れられるような気がした。




*どっちが好きなの?*



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ