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□大人≒レンアイジョウズ
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【獄寺】


オレはシャワーを浴びながら、武の顔を思い出そうとした。が、ぼんやりとしていてすぐ浮かばない。ついさっきまで寝てたのに。オレはその場にしゃがみ込んだ。

定期的に寝ることを決めたのは、オレだった。

きっかけは武。といってもアイツにはそこまでの自覚はない、と思う。
この微妙な関係になる前。翌日のことも考えずに夜を過ごして、武は仕事中に怪我をした。多分、自分で思っている以上に疲れてたんだろう。普段ならありえないそれに、オレは息が出来なくなった。
その日は、二人で会うのも久しぶりでお互い歯止めがきかなくて。オレが、もっととねだってしまった。だから武は疲れが溜まって怪我をした。武はもちろん、そうは言わなかったけれど。気付いてなかった、のかもしれない。

「……っ」

ドロ、と武のものが溢れてくる。咄嗟に唇を噛んで声を殺すが、その感覚に違うものを感じて身体がぞくぞくする。慌てて頭を振ってみるが、下から突き上げられる瞬間を思い出して前が熱くなっていく。
馬鹿。もうずっと、下からなんてされてないだろ。後ろからが一番楽だからと言われ、だから顔もよく見れずに抱かれてるのに。こんなところで勃たせるなんて浅ましいにも程がある。

堪え切れずに、泣く。シャワーの音だけが唯一の味方で、オレはしゃくりあげながら自身に触れた。武が、すぐそばにいるのに。なんで自分で慰めなければならないんだろう。

言い出したのは、確かに自分だ。
でも、武が未だこの状況に従っていることが怖かった。昔だったら、気に入らないことには文句を言われたし、殴ったり、逆に殴られたりもあった。そうやって確かめ合っていた。

武は、もうオレのこと。

「ふ、……ぁ」

ゆっくりと上下して、左手で口を塞ぐ。聞かれるわけにはいかない。こんなことしてるなんてバレたらどうなる。

涙が、止まらなかった。
ひどく情けない気分だった。






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