賢者の石

□1:薬学教授とご対面
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『……んん、…』


煌々と寒色のランプが照らす部屋目が覚めたユリは自分が寝ている場所と机の上の状況から英語を全て書き終えたところで眠ってしまったと思い出した。


『…夢じゃないんだ。』

ホグワーツにこれたことは嬉しいが、やはり家族が忘れられない。21年間も一緒に過ごしてきたのだ。

一人っ子なだけに可愛がられ、二人とも自分を愛してくれていた。

できるならもう一度会いたい。

『…なんて考えても無駄よね。』


両親のことは大切な思い出にしよう、そう決めて椅子から立ち上がったユリは備え付けのクローゼットから紺のワンピースを引っ張り出して着替えた。


(なんか忘れてる気がするのよね…)

外に出たユリは高く昇る日を見上げ空を仰いだ。

今日は晴天でお出かけ日和だ。室内に閉じこもってないでお買い物がしたい。

(ダイアゴン横丁とか行きたいな…)

『あ!!!!』

ダンブルドアに頼んだら連れていってくれるかな、そう考えたユリは大事なことを思い出した。


『やばいじゃない、確か昨日朝起きたら校長室に来てって言われてた気がする。』

この際、約束を忘れていたのはしょうがないとして問題は時間だ。

日の高さを見る限りでは‘‘朝’’と呼べる時間帯ではないようだし、これではきっと教授陣との顔合わせもできない。

急がなきゃ、とユリは斜面にある階段を駆け上がった。




「おやおや〜ぁ?見かけない顔だなぁ、一体お前はだれだぁ?」

ユリが全速力で城内に駆け込むと、なにやら耳に障る甲高い声が聞こえてきた。

『!!誰?!???』

あまりにも突然、気配もなく降りかかって来た声に警戒しながらユリが問うと、目の前に宙に浮いた小男が現れた。


「おお!!お前は‘‘誰’’っていうのか、面白い名前だなぁ〜」

オレンジ色の蝶ネクタイを首元につけた小男は馬鹿にしたような声を出しながらユリの周りをくるくると回った。

『違うわ、名前はユリ・クロセよ。』

「おお怖い!!誰かさんは怒りっぽい!」

『そういう貴方はピーブズね?』

このままでは拉致があかないと思ったユリは無視をして小男に問いかけた。

ユリの口から出た名前に驚いた小男はまたくるくると回りはじめた

「俺様はお前に名のった覚えはないぞ〜?なのに俺様の名前を知っている!!変だな〜?!!」


『そうね、名乗ってはないと思うわ。昨日ダンブルドアに教えて貰ったの。‘‘ピーブズっていう厄介なポルターガイストがいる’’ってね。でも貴方そこまで悪いこじゃなさそうだしこれから色々よろしくねピーブズ』

ユリが早口で捲し立てるとピーブズはポカーンと間抜けな表情をした。

その隙にユリは一気に廊下を駆け抜け、校長室へと急いだ。

もちろんダンブルドアからピーブズのことなんて聞いてない。ユリがその場を切り抜けるために勝手に作った嘘話だ。

『ふぅ、なんとか切り抜けられた…ピーブズに捕まったら大変そうだな…。』


一度息を整えるために立ち止まったユリは、次ピーブズに会ったらどうかわそうかと考えながらまた走り出した。



『わっぷ!!!!?!?』

そんなことを考えながら走っていた為か、角を曲がったところで何かにぶつかってしまった。

『いったぁ…』

対象のものとぶつかった弾みで壁に勢い良く頭をぶつけ倒れたユリは涙目になりながら上を見上げた。


『あ』

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