賢者の石

□プロローグ
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1991年の夏の始めに、スコットランド北部に位置する古城で1人の少女が目覚めた。


『んんーーー!!』

ベッドの上で体を起こし、大きく伸びをした少女はまだ開ききっていない両目をこすりながら首をかしげた。

『ここ、どこ?』

周りを見渡してみるとそこは全く見覚えのない部屋で、昨日までいた自分の部屋とは程遠い印象をうけた。


部屋は四角でドアは一つだけ。
足をそろりと降ろした床は青と灰色の石畳で、壁には壁を埋め尽くす程の本棚と本、銀の装飾が施された全身鏡、大理石のような質感のブルーの机と同じくブルーのちんつ張りの椅子、そして淡いブルーのレースが幾重にもあしらわれた天蓋つきベッドがある。


『素敵だけど……一体何が起きたんだろう…』


不信感を持ちつつベッドから立ち上がると自分の目線に違和感を感じた。


自分の両手両足を穴が空くほど見つめた後、蒼白になった少女は一目散に全身鏡の前まで走った。


(うぇ、小さくなってる)


鏡を覗くと、到底21歳だとは思えない容姿の自分がそこにいて鏡のなかから愛らしい黒い瞳を自分に向けている。


(これは一体本当にどういうことなの………ーーーーーーーー夢ね、そう…夢よ、夢!!)


『そうとわかれば怖いものなんて何にもないわ!少し周りを捜索しましょう』


エイエイオー!と勢い良くドアを開けて外に出ると、そこは地下のようだった。

長い階段の左側の壁には丸い窓が幾つもあり、その窓からは幻想的で鈍い、青い光が差し込んでいた。


『わぁ!海の中にいるみたい!』


丸い窓に顔ををくっつけて外を見るとそこは海のようで、光を反射させながら揺れ動く海藻や、大きな岩を見ていれば御伽噺に出てくる人魚になった気分だ。



もつれる足で長い階段を息も絶え絶えに登り切った時、不安感に駆られた。

出口がないのだ。

………と思ったのもつかの間、よく見ると目の前には壁と同色の梯子がかかっていて、その上には四角い開き扉があった。


『なんだ、あるじゃない出口。』


揺れる梯子を登り木製の扉を開けると、眩しい日差しが降り注いできた。



思わず目を細め、地面に立った少女は、目が慣れてくるにつれ今度は目を大きく見開かなければいけなかった。



『ホ、ホ、ホグ、ホ、ホグワーツツ??』


少女の目の前には確かに見覚えのある巨大な城が堂々とそびえ立っていた。


そして後ろを振り向けばハグリッドの小屋と思しき家があり、その奥には禁じられた森が広がっていた。

『夢でホグワーツに来たのは初めてだわ………こうしちゃいられない!!ホグワーツを探索しなきゃ!』


突然の幸せにテンションがMAXになった少女は斜面の階段を登りホグワーツに繋がる通路を思いっきり駆け抜けた。


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