愛されピエロ
□聖夜とは名ばかり
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「ウェンディ!ビックスローになんて事するんだ!こいつは本体は弱いと言うのに!」
「お前が言うなァ!!しかも何気に失礼な事言ってんじゃねえ!!」
この触覚野郎……っ。
柄にもなく声を荒げてから、俺は隣のウェンディを見た。
「怪我ねーか?言っとくけど、別にウェンディ悪くねーからナ」
「あ、はいっ!私は平気です!それより、ビックスローさん……本当に大丈夫ですか?」
心配そうに見上げてくるウェンディには悪ぃが、ちょっと嘘つかせてもらう。
「大丈夫だって!本体は弱えとかよく言われるけど、そんな事ねーし!」
「本当ですか?もし怪我してるなら、無理せず言ってくださいね?」
「おー、わかって……ぅわっ!」
触覚をほっといてウェンディと喋ってたら、ラクサスに軽いラリアットかまされた。
いや、軽くねえ、入ってる。
「けほ…っラクサス、何!?」
「別に」
じゃあ放せよ、とそのまま肩に腕回してきたラクサスを見る。
にやっと笑った顔でさえカッコイイと思っちまうのは、雷神衆なら仕方ねえダロ。
俺が何も言えねーのをいい事に、ラクサスはぐっと顔を近づけて、耳元で囁いてきた。
「ビックスロー……俺のモンになれよ」
「またその話カヨ……あのね、俺は誰のモンでもねーの」
とりあえずラクサスの顔を押しのけて距離をとる。
つーかコレ、ぜってーめんどくせー流れじゃん……。
「えっ、ビックスローは僕の物でしょ?」
「何を言う。ビックスローは俺の物だ」
ほらキタ。ぜってー食いつくと思ったんだヨ、この2人。
「あ?ビックスローは俺んだろ。何言ってんだ」
「あの……人の話聞いてマシタ…?」
ラクサスにツッコむが聞いちゃいねえ。
馬鹿馬鹿しくなって、もう勝手にすりゃいい、とその場を離れようとした時、下から声が聞こえた。