愛されピエロ

□ある小説家(仮)の近況報告。
2ページ/4ページ


「ねぇビックスロー、ちょっと話があるんだけど」
「話ィ?」

お、ロキが切り出した。
ビックスロー、きょとんとしてる。ああいう顔がロキを煽ってるって、わかってないんだろうなぁ……。
まぁ、墓穴掘ってくれた方が、こっちとしては面白い展開になるんだけどね。

「珍しいなァ、お前が俺に話なんてヨ」

そう言って楽しそうに舌を出すビックスロー。
あぁほら、ロキが内心悶えてる……取り繕ってるけど。
なんでわかるかって?アタシはロキの所有者(オーナー)よっ!それくらいわかるわ!

「ロキ?」
「あっ…いや、えっと…」

ロキがあんな風に慌ててるのって珍しいかも……。
とか考えてたら、ロキが咳払いした。

「あのさ、マグノリアの外れに新しいケーキ屋さん、できただろう?今度、一緒に行かないかい?」

おぉ出た、王子様スマイル!
これでオチない女の子はいないって、冗談抜きで。
まぁ女の子なら、だけどね。

「あぁ、あそこならこないだウェンディとシャルルと3人で行ったぜ」
「えぇっ!?」
「んだヨ、そんな驚いて」

あー…ウェンディに先越されたかー。
あの子、なかなかやるわね……。

「あ…うん、そうなんだ……」
「どうした、そんな落ち込んで……。そんなにケーキ食いたかったのか?」

おーっと、ここでビックスローの鈍感発動!
ほらロキ、見て!凹んでないで見て!
とか念を送ってたら、ビックスローが何か思い出したように声をあげた。

「あ、そーだ。また今度ウェンディとあのケーキ屋行こうつってんだけどヨ、お前も一緒に行くか?」
「っ!いいの!?」
「お、おう……。立ち直り早えナ……」

ロキ、いくら何でも近づきすぎよ!
ビックスロー引いてるから!

「嬉しいよビックスロー……ありがとう」
「?……まぁ開き直ったんならいーケド……」
「もしよかったら、その後僕とデートでも……」
「アイスメイク、ハンマー!!」

あ、グレイの声が……とか思ってる間にロキ潰されたわ。
だから近づきすぎだって言ったのに……いや、言ってないけど。
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ