ここが俺の帰る場所
□その少年の夢
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ビックスローの両親は、同じ魔導士ギルドに所属していた。
小さなギルドだったが、メンバー同士の仲は良く、優しい人達ばかりだった。
ビックスローは、まだ魔法を使えないのでメンバーではないが、そのギルドが大好きだ。いつか魔導士になったら、このギルドに入りたいと、物心ついた時から思っている。
「お父さん、今日は何のお仕事だったの?」
食卓の椅子によじ登りながら、ビックスローが訊いた。
「今日は、山のモンスター討伐だったんだ。思ったより簡単に片づいたよ」
「そもそも山に着くまでに時間がかかるっていうのに、本当に早かったわね」
食卓に皿を並べながら、母が言う。
「あぁ。討伐自体が本当に一瞬だったからな」
その後、食事をしながら父が今日の仕事の話をして、ビックスローはそれを楽しそうに聞いていた。
「ねえねえ、僕も大きくなったら、魔法使える?」
食事が終わって風呂に入った後、父の膝の上で髪を拭かれてていたビックスローが言った。
見上げる瞳は純粋そのもので、父はその頬をぷにっとつつきながら答える。
「あぁ、使えるよ。ビクが頑張って覚えればね」
「ホント!?」
「ビクはどんな魔法が使いたいの?」
食器を洗い終わった母も、手を拭きながら2人の隣に座った。