愛されピエロ

□聖夜とは名ばかり
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「メリークリスマース!!」

朝、ギルドに行ったら、いきなりロキが言ってきた。
それはそれはもうハイテンションで。

「ロキ……どうした?」
「クリスマスだよ!」
「うん、知ってる」

アレ、このやりとりってフツー逆じゃね?テンション高え方って、普段俺じゃね?

「どうしたのさビックスロー!いつもはこっちがびっくりするほど煩いのに!そんな君が可愛いけど!!」
「煩くて悪かったな!つか今なんつったお前!!」

どーしたんだ、今日のロキ……。本格的に壊れてんな、コレ。
とか思ってたら……

「ビックスロおぉぉぉぉ!!」
「ぐはぁっ!!」

背後からタックルしかけられた。
くそ…っ油断した……っ。
振り向いたら、予想通りフリードがいた。

「何しやがるフリード!」
「おはようビックスロー!いつもながら可愛いな!」
「何言ってんだテメエェェ!!」

うわ、フリードに言われると鳥肌たつ!
つーか、どーしたんだマジで!
クリスマスだからってハシャぎすぎだろ!!
一言言ってやろうとした瞬間、背後から声がかけられた。

「何やってんだお前ら。出入り口塞ぐんじゃねーよ」
「っ!ラクサス!」

来ました我らが雷竜。
いつものようにコートを靡かせながら、ラクサスは俺の肩に手をかけた。

「いいからさっさと中入れよ。風邪引いたらどうすんだ」
「あ、ゴメン」
「お前に体調崩されたら困る。他はどうでもいいけどよ」

……ラクサスも若干壊れてんナ。
ホント今日何なんだヨ。

「どうでもいいって、なかなか失礼じゃないかい?」
「そうだラクサス!俺達を何だと思ってるんだ!ビックスローが風邪を引いたら困るのは同意だが!」
「お前らは風邪引いたってピンピンしてんじゃねーか。つーか、ロキは風邪なんか引かねーだろ」

今のうちに逃げようカナ……。
と、一番捕まらない逃走経路を考えていたその時――

「キャッ!」
「だっ!」

後ろから頭突きにも等しい勢いで、誰かがぶつかってきた。何、今日背後に気をつけろってコト……?

「あ、ビックスローさん!すみません、大丈夫ですか!?」
「あぁ、おう……大丈夫」

やっぱりウェンディか。高さ的にそんな気ィしたんだわ。
ちなみに、腰は既に誰かさんのタックルのせいで痛めてた。そこへ転んだ勢いで頭突きされりゃ、大丈夫な訳ない。ウェンディのせいじゃねーから言わねーけど。
 
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