愛されピエロ

□知らぬが仏。
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朝、ウェンディはギルド前でビックスローに会った。
ツインテールを揺らしながら駆け寄って、笑顔で声をかける。

「ビックスローさんっ!おはようございますっ!」
「お、ウェンディ!はよー」
『ハヨーハヨー』

ビックスローの口真似をするトームマン達にも笑顔を向け、ウェンディはぺこりとお辞儀をする。その傍らに、いつも一緒にいる白猫は見当たらない。
疑問に思ったビックスローは尋ねた。

「なぁ、今日シャルルは?」
「あ、シャルルは昨日から、ハッピーとリリーと一緒に仕事に行ってます」
「え、3人で?」
「はい。確か、ガルグイユを倒しに行くって言ってました」
「マジで!?」
「はい……私には無茶するなって怒るくせに、『リリーがいるし大丈夫じゃない?』とか適当な事言って……もぅ」

頬を膨らませるウェンディ。
それを見て、ビックスローは小さく微笑う。いつものふざけた笑みではなく、優しい笑みだ。
ウェンディはそれを見て、「ふふっ」と笑った。

「どうしたァ?なんか嬉しい事でもあったのか?」
「はいっ!でも、ビックスローさんには内緒です」
「え、なんで!?」
「内緒でーす♪」

いたずらっぽく笑って、ウェンディはギルドに駆け込む。
後ろでビックスローが溜め息をつくのが聞こえた。
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