ねこカフェ

□入店
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某町2丁目にひっそりとある一つの店
「ねこカフェ」
擦れる社会に疲れきった大人たちが
ひと時の憩いの為に訪れるという…

そして、今夜もまた

ねこたちに癒されようと
ねこカフェの門を潜る…



「いらっしゃいませ」

カランという昔情緒あるドアの鐘。
それを聞きつて店の奥から
黒いバーテンダーの衣装に身を包み
訪れた客に物静かな笑顔で迎える。
黒髪の綺麗な一人の青年。
客は2人。
ブランドのスーツを着こなし
落ち着いた趣きある表情で
青年に慣れた挨拶を交わす。
青年は客の名を呼び挨拶をした後
後ろの客を見て声を掛ける。

「そちらのお客様は初めてでいらっしゃいますね?」

「は、はい」

店の雰囲気に呑まれ萎縮する
社会でもまだ新人に近いと
思われるような若さ溢れる男性。
青年はかき隔てない笑顔で
男性に一つの書類を差し出した。

「お名前とこちらの質問にお答え署名を願います」

「は、はい。
社長。猫カフェに行こうって言っていたじゃないですか
なんでこんな高そうなクラブに…」

男性は書類を手にすると
青年には聞かれない様に社長と呼ぶ
深月(みつき)に囁く。
深月はクスっと笑っては男性の背中を軽く叩いた。

「大丈夫だよ会田。ここはれっきとしたねこカフェだよ」

「そうなんですか?
…って、この質問やけにプライバシーに踏み込んでるな」

渋々ペンを取り書類に目を通しては
質問に答える会田だったが
質問内容に目を疑い手が止まる。

「ああ…ここは良質な客を選ぶ店だからね」

「今までの病歴や性事情まで…」

「店のネコに病気が伝染るといけないからだよ」

そう聞けば、そうなのかと思いつつ
スポーツ刈りの短髪を軽く触ってから
再び答えを記入する。
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