ゆるりゆらゆら。
□おっさんとゆる
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ゆるりゆらゆら…
桜舞う下でおっさんが俺にそう言ったんだ。
「ゆる、ゆる。おいで」
「その呼び方やめろよ。なんかめっちゃゆるい奴みたいやん」
食事が終わりリビングで寛ぐおっさんが風呂上りの俺を見るなり手招きして膝上に座るように誘う。
俺は今野泰成。掠りもしないニックネームはおっさんが勝手に付けた。おっさんから見ると俺はほんわかゆるりとしているらしい。タオルを肩に引っ掛けて近寄ると胡座をかくおっさんの足の間にすっぽりと座る。すると、おっさんはタオルを取り背後から俺の髪を乾かしはじめた。
おっさんこと瀬戸智和は俺の通う高校教諭。俺の親は海外赴任しており一人残った俺は下宿していたのだが、とあるきっかけでおっさんの家に厄介になる事になった。
「ゆる可愛いだろ?ゆるにピッタリ」
「わかんねーよ」
おっさんはゲイだ。下宿先の近くがハッテン場でたまたま通りかかったらおっさんに遭遇した。それから俺の前ではオープンになり「俺の癒し」と言っては擦り寄る始末。
俺はと言うと、ノーマルなのかゲイなのか、それともバイセクシャルなのか…自覚はないのだが好意を寄せるおっさんを気持ち悪く思うこともなくされるがままになっている。